ジムで水泳

ガキどもが独立し,養育費,教育費からも解放され,そろそろカネを生活感の薄いことに使ってもよかろうと思い,七月から夫婦で最寄り駅すぐにあるフィットネスクラブに通うことにした。ここ数年,ウォーキングもさぼりがちになり,オヤジの体質としてすぐ腹部に脂肪が蓄積されてじつにみっともない体格になり,人間ドックで運動不足を指摘されてもいたので,意を決して,ジムで運動しようということになった。カネを払う以上元を取らねば,に類する貧乏根性も手伝って,少しは効果が出るだろうと期待しつつ…。

もとより健康のためであって,筋骨隆々になりたいとは思わない(そんな齢でもなし)。ダイエット(体重減)というか,体脂肪を減らすことが効果判定の一番の指標である。かねてから体全体を駆使する水泳が健康にもよいと聞いていたので,プールのあるクラブを選んだ。ウェイトトレーニング,水泳のメニューを週に 2,3 回こなすことにした。

泳ぐのは,四十余年ぶりであった。小学校 5,6 年生のころ学校で少し手ほどきを受けてクロールを覚え,当時はガキの有り余る活力でヘタクソながら 200m くらいは平気で泳ぎ続けたものだったが,いまこの齢で久しぶりにクロールで泳ぎ始めたところ,息継ぎのときに水を飲むは,バタ足は無駄に足掻くは,腕のリカバリーは我ながらぎごちないは,やっとのことで 25m を泳ぎきると,息はぜいぜい,腕はガクガク,みたいな激しい消耗のありさまに呆れる始末だった。ガキのころはもっとラクに泳いでいたはずなのに。そう,ラクに。ジム初日,100m 泳いだら疲れ果ててしまい,これを続けりゃ痩せるわいなの前途多難の達成感を覚えた。

ちょっと泳ぎ方を勉強し直して,もう少しラクに,すいすい泳げるように,ガキのころの記憶を取り戻したいと思うようになり,水泳指南の YouTube 動画を漁るようになった。そのなかで,「おお,こんなふうにラクに,優雅に泳げたらなあ」と思える以下の動画を見つけ,その泳ぎのポイントを自分なりにジムで練習することにしたのである。


by Shinji Takeuchi

それから二ヶ月,おかげで,この動画のような優雅な泳ぎはムリとしても,ラクに泳げるようになった。始めは 25m で 35〜40 だったストロークを 20 程度で済ませられるようになった。やみくもにバタバタ足掻くだけだったバタ足も,2 ビートキックで左右のバランスを取りながら腕のストロークに同期できるようになった。ひいこら言いながら一日 100m 泳ぐのが限界だったのだが,1,000m 泳いでも腕や足がガクガクするようなことはなくなった。

体重も二ヶ月で 5kg 減り,体脂肪率も 28% だったのが 24% に落ち,平均的なレベルになった。クロールの METs(運動強度)はジョギングの 3 に対し 8 とかなり高く,つまり,30 分クロールで泳ぐと,俺の体重レベルではおおよそ 8 × 60 × 0.5 = 240kcal の消費となる。ま,白飯一膳分くらいのカロリーでしかないわけだが,食生活が同じでも,ほぼ毎日 3,40 分泳ぐとたしかに痩せるはずである。7,200kcal 消費で 1kg 体重減という目安があり,30 分のクロールだけだと毎日やって一月で 1kg 減ということになるが,その他の日々の活動,食生活での糖質・脂質・炭水化物の減量と合わせ 5kg 減の成果ということだろう。

かくして,いま,ジムで泳ぐのが,無心に,少年のように楽しく,マイブームである。仕事から帰宅したあとであまり時間を掛けられないので,一日 3,40 分,500m 以上泳ぐのをノルマにしている。ウェイトトレーニング,水泳のあとは,スパで体を洗いサウナで汗をかいて家に帰る。この調子だと十分元が取れるな,とやはり貧乏根性は抜けない。