藝大奏楽堂でイタリアの弦楽を聴く

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11 月 20 日,東京上野の東京藝術大学奏楽堂でイタリアの室内楽を,妻と二人で聴いて来た。日伊国交 150 周年を記念して,弦楽シリーズ 2016 オール・イタリアン・プログラムということであった。

演目は,A. ヴィヴァルディ作曲・三つのヴァイオリンのための協奏曲ヘ長調 RV 551,L. ボッケリーニ作曲・チェロ協奏曲ト長調 G.480,G. ボッテジーニ作曲・協奏的大二重奏曲,G. ロッシーニ作曲・弦楽のためのソナタ第 5 番変ホ長調,O. レスピーギ作曲・リュートのための古い舞曲とアリア第 3 組曲。演奏は,レジス・パスキエ,漆原朝子,玉井菜採,野口千代光ほかのヴァイオリン,市坪俊彦,渡部咲耶ほかのヴィオラ,中木健二,河野文昭,飯島哲蔵のチェロ,池松宏,永井桜のコントラバス,鈴木愛美のチェンバロ。東京藝術大学の先生,大学院生からなる弦楽オーケストラである。

イタリア音楽の官能的な弦楽を楽しんだ。モーツァルト,ベートーヴェンなど独墺系音楽の端正・古典的構成感とは趣の異なる,優美,甘美がある。シチリアーノはモーツァルトよりもヴィヴァルディのほうが私にとっては魅力的である。

どの曲,どの演奏も素晴らしかった。中木健二独奏によるボッケリーニのチェロ協奏曲は,この曲はこんなにいい曲だったんだと改めて思うほどだった。パスキエのヴァイオリン独奏と池松宏のコントラバス独奏によるボッテジーニの協奏的大二重奏曲(グラン・デュオ — 妻の曰く,マンションの名前のよう)は,はじめて耳にする曲だったのだけれども,超絶技巧とケレン味溢れるユーモアで,今日の演目のなかでいちばん楽しんだ。曲の最中で,コントラバスで難しいパッセージを演奏しながら,池松宏が「ヒロシです」ではじまる「これはおれのための曲であってパスキエさんのためじゃない」みたいな独り言を九州弁でしゃべるところがあり,爆笑させられた。楽しい演奏会だった。

演奏会が終わると日が暮れていた。上野公園のイルミネーションがきれいであった。

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