立夏に銭湯に行く

五月五日,元黽(ガマ)始メテ鳴ク立夏初候。黄金週間の最終日。夏日となり,書斎(自称)で吉行淳之介を読みながら,吉行短篇の娼婦ネタじゃないが,それこそ暑苦しい日中を過ごす。妻と銭湯に行くことに。大きな浴槽で伸び伸び時間をかけて湯に浸かるのは内風呂ではできない贅沢で,たまに家族で行くんである。で,いま現在も営業している数少ない近所の銭湯・平間湯に出向いた。

450 円の入浴料。学生時代に札幌で過ごしたとき下宿に内風呂がなく,三日に一度銭湯を使っていた。そのときは 290 円だったのを覚えている。北海道の冬場に銭湯に行くと,帰り途で頭髪がかちかちに凍ったものである。妻も就職後,横濱・綱島のアパートにいたころ,銭湯通いをしていて,出版社の同僚から「いまだに銭湯使うOLがいるのか!」と揶揄われたそうである。そんな昔話を夫婦でしながら,平間湯に歩いた。

いまは内風呂が当たり前なので,銭湯は絶滅の危機にさらされる業界である。現在も経営が成り立っている平間湯はそれなりの工夫,経営努力をしている。平間湯は 130 円の別料金でサウナに浴することができ,一般のサウナに比べれば格安料金なのだ。その日は端午の節句にふさわしく菖蒲湯に浸かった。

黄金週間の最後に,なんとも貧乏臭いわけだけど,銭湯でさっぱりいたしました。