今回の年末年始は 30 日,3 日と仕事が入り,お休みの日は食って寝てばかりいた。三が日のうちのお詣りには出かけずじまいだった。仕事始めの週末の今日,初詣に行こうということになり,東京港区赤坂にある日枝神社ということで妻と意見が一致した。
以前,この界隈が職場だったのに,日枝神社前の交差点をいつも赤坂ないし六本木の歓楽街のほうに折れることしかせず,そのうちそのうち,と思いながら参拝することのなかったお社。で,初詣というキーワードで頭に飛来した。おまけに年末に,いまの職場の日本橋兜町にある日枝神社・日本橋摂社にお詣りしていた縁もあった。妻はというと,1 月 5 日の朝日新聞朝刊の天声人語を読み,今年の干支である申,猿を神の使いとして大切にして来た日枝神社のことが頭にインプットされていたらしい。
お午ご飯を食べたあと,JR 新橋駅まで横須賀線で行き,そこからは地下鉄を使わず,新橋烏森口から歩いて日枝神社に向かった。途中,桜田通りに面した虎ノ門・金刀比羅宮(高層ビルの足下を参道がブチ抜く奇怪な構造を有するお社である)に参拝した(ということは,初詣は金刀比羅宮ということになるんだが)のち,外堀通りに沿ってさらに歩いて,日枝神社に到着した。
日枝神社は,社殿の前に狛犬の代わりに夫婦の神猿像が並んでいる点で,珍しいお社である。朝日の天声人語によれば,「境内に神猿(しんえん)の像がある。『まさる』と呼ばれる。魔が去る,何事にも勝る,となって信心を集める。猿(えん)は縁に通じ,縁結びの御利益もあるといわれる」(1 月 5 日付け)。
日枝神社境内
長蛇の列に並んで,おみくじをひくことに。「並び待って大凶を買う初詣」みたいな冗談句を妻が飛ばす。すぐうしろに中国人観光客がいた。「爆詣というのもあるのかな」と私。私たちの前の恋人たちは,列に並ぶ無聊の間に楽しい会話をしているようだった。果たして,おみくじは私も妻も中吉だった。悪くない。私のには「夕立のまだはれやらぬ雲間よりおなじ空とも見えぬ月かな」とある。これまでの苦憂ことごとく解消して運大いに開くと。妻はお守りを買い求めてさらに長蛇の列に並ぶ。
最後にお稲荷さんにお詣りし,幾十にも連なる鳥居の美しいトンネルを抜けて日枝神社をあとにした。長く連なる鳥居の参道では,京都の伏見稲荷が有名であるけれども,東京の日枝神社にもなかなかの鳥居参道があるんである。
山王稲荷神社鳥居参道・山王おみくじ