家庭史年表 昭和・平成/明治・大正 二冊

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『増補 昭和・平成 家庭史年表 1926-2000』より

『家庭史年表』という本がある。下川耿史・家庭総合研究会編。河出書房新社から出ている。明治・大正 1868-1925 編と昭和・平成 1926-2000 編の二冊。妻はたまにこのような本を仕入れて来る。

これらは一般の歴史本とは異なり,国家的観点で国・民族の歴史的カイロスとなった事件とその意味を辿るのではなく,「衣・食・住」,「家計・健康・教育」,「文化・レジャー」,「社会・交通・一般」の四つの観点で,一年分 6 〜 8 頁で当年のトピックを整理したもので,いわゆる普通の民衆にとって身近に捉えられた出来事を掲載している。余白を埋める,当年の世相を現すような写真や,スーパーマーケット食料品の値段等のデータも,興味深い。

自分の人生で転機となった年の状況を読みたくなるものである。そして,現在と比べてしまうものである。当時の流行,世相に自分も乗せられていた,反発していた,等々様々な反応を個人的にしていたのが如実に思い起こされる。1967年,昭和四十二年三月の記事につぎのようなものがある:「台湾の日本大使館,日本人観光客のマナーの悪さに,エチケット集を配布」— いま,日本人は海外から礼儀正しく「民度」の高い国民と言われていて,日本人自身もそのように認識しているようである。オレはどちらかというとシツケの悪かったかつての日本人のほうが好きである。いまの日本人はキモイというのが正直なところなんである。ああ,なんと世の中は変わったことか,と年寄り臭い感慨に耽ってしまった。

すったもんだがありました。(1994年,平成六年)

 
昭和・平成家庭史年表
下川 耿史,家庭総合研究会 編
河出書房新社
明治・大正家庭史年表―1868‐1925
下川 耿史,家庭総合研究会 編
河出書房新社