両国・江戸東京博物館『大関ヶ原展』

東京・両国の江戸東京博物館で『大関ヶ原展』を観て来た。徳川家康没後 400 年記念特別展という副題が付いている。最終日だからかも知れないが,人出が凄くて,正直驚いた。入館する前から 30 分以上列に並ばなければならなかったほどである。戦国時代の締めくくりの歴史的合戦にまつわる古文書,美術品,武将の甲冑が展示されていた。

列に並んでいるときから歴史オタクみたいな男性が,同伴する女性に,東軍,西軍それぞれの武将のエピソードやら,屏風絵にあらわれた家紋の由来やら,蘊蓄を披瀝していた。妻は「あの人の後ろに着いて歩けば展示物の解説が聴けていいかも知れないわね」と冗談を言っていた。若い客が目立ち,このような歴男,歴女たちが思いのほかたくさんいるらしかった。

武将の甲冑が見事だった。とりわけ,徳川四天王・本多忠勝が着用したとされる黒糸威胴丸具足は,その鹿角の脇立て・獅噛の前立ての造形が精巧極まりなく,美しかった。残念ながら,それ以外の展示物については,あまりに人が多いのでじっくりみる暇もなかった。

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それにしても,天下分け目の合戦も朝 8 時に始まって夕方 4 時くらいには勝ち負けが決したというのだから,この歴史的カイロスの煮詰まり具合は尋常ではない。しかも,小早川秀秋の寝返りのような諮りごとが成り行きを左右したわけで,歴史の if の想像力を常に掻立てる 8 時間だったわけである。

関ヶ原合戦は,時代の流れを何がどのように変えてしまうのかわからないという不確実性の象徴のようである。