エロール・ル・カイン展,川崎地下街で寿司を食う

妻と娘は今日,横濱で開かれていたエロール・ル・カイン展を観に行った。ル・カインはイメージの魔術師と呼ばれた絵本作家だそうで,私は寡聞にして知らなかったが,妻は昔から好きで画集も持っていたらしく,娘を誘ってなんとか展覧会最終日前日に滑り込んだということだった。ル・カイン画の絵はがきを数枚購入した。

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私は家でお留守番。Web サイトのメンテナンスをしていた。今夜は三人で寿司を食うことになっていた。薄暮のころ家を出て,ひとり川崎駅地下街・アゼリアまで歩いた。

目黒の顧客本社に足しげく通ったころは駅前の寿司屋が気に入って,よく午に食ったものだが,そういえばいまの職場近くによい寿司屋がないからか,寿司を食うのはじつは久しぶりであった。家族で行くなら回転寿司がよい。マグロ,エビ,ホタテ,ネギトロ,卵,稲荷,等々,十六貫くらいは食っただろうか。私ひとり一皿二貫 550 円也のトロを食った。浅蜊汁も旨かった。腹一杯食って,ビールも呑み,三人で 6,000 円ほどだった。

寿司で満腹。帰りも歩く気合い十分だった私は,少しお茶でも飲んで腹を落ち着かせたかった。喫茶店に入るのは金の無駄遣いである。ローソンでワンコインのブレンドコーヒー(最近コンビニで売られているドリップコーヒーは安価でかつなかなか旨いのだ)を買い,ラゾーナの喫煙ベンチで一服することにした。

煙草を吸いながら — わかばをマールボロのボックスに入れていやがる,見栄っ張りの — 娘が大学の女友達の話をした。彼女はラブホテルでアルバイトをしているそうである。話によれば — そのラブホテルのサービスには,オモチャ(言うまでもなく,大人のおもちゃ,ラブグッズ)を貸し出す追加オプションがある。それが注文されたとき,オモチャが客の指定と齟齬のないようにするため,彼女はオモチャを持って客室のドアをノックし,直接客に対し「ご指定はこのXXXバイブでよろしいですね」と確認を取ったうえで,手渡さなければならない。ISO 9001 ものの手順である。客も決まり悪そうな顔をするが,彼女本人も — 世間知らずの二十歳の女性だから当然なんだが — 顔から火が出るくらい恥ずかしい。「でも,時給いいんだって」と娘。「はははは,そういう経験も大事だよな」と私は笑うしかなかった。

川崎から自宅までやはり歩いた。往復で 10 キロ。歩きながら,吉松隆のピアノ協奏曲 Memo Flora 作品 67 を聴いた。吉松の,鳥や花をモチーフにした曲は,清々しい抒情で,そよ風に吹かれるようなゆとりでこころを満たしてくれる。とくに第二楽章 Petal: Andante がよい。

Yoshimatsu: Piano Concerto
Kyoko Tabe (Pf)
Sachio Fujioka (Dir)
Manchester Camerata
Chandos (1998-10-20)