安倍総理が米国議会で演説

今日,日本時間 30 日未明,安倍総理が米国議会で演説を行った。米連邦議会上・下院合同会議での演説は,日本の首相としてははじめてのことらしい。今朝の朝日新聞朝刊にも,英文,日本語訳の全文が掲載されていた。その内容はあらかじめ想定されていたものだ。スピーチの最中に十数回のスタンディングオベーションで迎えられたというのだから,全体的には好評だったようである。

朝日新聞は,アジア戦時被害と朝鮮半島植民地政策に関し「侵略」と「おわび」というキーワードがなかったことをことさら非難する論調だった。アジア諸国の領土を戦場にした以上,たしかに「侵略」は否定し切れない。けれども,安倍総理は「村山談話」を継承するとはっきり断言しているし,演説においても,戦後アジアの発展に責任ある貢献をなして来た,これからも積極的に寄与する決意である,という意思が鮮明であり,個人的には,安倍演説は未来志向のよいスピーチだったと評価したい。「村山談話」を継承しているのだから,改めて「おわび」をする意味はどこにもない。そこでことさらに「侵略と植民地支配に対して謝罪しない日本は国際社会で孤立を招く」などと主張する朝日新聞は,中国と韓国の愚痴を体現しているに過ぎないように思われる(*)。ま,政府の施策に無意味に反論するのも「言論の自由」として尊重すべきことである。でも,植民地支配そのものに「おわび」した国なんてあるのだろうか? 国際社会からずれているのはどっちだろうか?

(*)朝日新聞のいう「国際社会」とは中国と韓国のことである。まあよい。朝日は,ここのところの不祥事(二つの吉田問題)により新聞そのものの信頼性を大きく損ねて,発行部数が減っているので(新聞業界全体が右肩下がりのところに,2014 年の朝日の下げ幅はダントツである),売り上げ増のためにそのうち体質も変わるかも知れない。朝日・毎日はいまでこそ左翼新聞みたいなレッテルを貼られているが,戦前は戦争翼賛新聞の代表であった。しかも,大正時代はいま現在の朝日と同じ「リベラル」の旗印だったのに,満州事変以降「朝日不買運動」が起こるや,戦争賛美に舵を切った。それは軍部が筆を曲げることを強要したというより,戦争賛美を押し進めたほうが売れたからなのである。「あの朝日が?」みたいな転換は,日中韓のせめぎ合いの激しいいまの時代,いつでも起こりうる,ってことである。
ここまで朝日新聞をこきおろしながら,なんで朝日を購読しているのか。讀賣はあの強引な売り方が大嫌いだし,右翼新聞・産經は生理的に受け入れられず,俺的にいちばんの日経は購読料が高いし妻がつまらんと言うからである。毎日? なんで毎日が候補に上がるんだ? である。東京新聞? 俺は神奈川県民だ。読み物としては東スポ,日刊ゲンダイが好きなんだが,恥ずかしくて定期購読なんてできやしない — おまけに,週刊誌ならぬ日刊誌であって,そもそも新聞ではない。そう,ヨミモノ。夕刊フジ? オレンジ色の憎たらしいヤツでしかない。

一方で,村上春樹 — いまや世界に誇る,日本を代表する作家 — が「相手がもういいと納得するまで謝るしかない」と発言し,話題になった。人として尊敬に値するものだと思う。でも,それは「人間」関係の認識についてのことであり,「国家」の論理として妥当かどうかは議論の余地がある。国家は道徳・良心よりも国益のために働いてこそ意味があるからだ。外交において善人面で立派なことを言うのも,政府要人自身が立派に見られたいためではなく,あくまで国益のためである。

韓国のマスメディアは,この村上発言を引用して,なんと「日本は無限におわびすべき」と飛躍する始末である。つまり「納得」しないという結論をあらかじめ決め込んでいるから「納得するまで」を「無限に」と読み替えるこんな飛躍ができるのだ(鈴置高史『「アベの米議会演説阻止」で自爆した韓国』(日経オンライン 2015.4.27)参照)。だからこそ,これまで日本がいくらおわびしても,「誠意がない」とつっぱねられ,ことあるごとに謝罪を要求され,その度に経済その他の「協力」をさせられて来たわけだ。「日本は性奴隷を強制した歴史を反省し,謝罪し,補償せよ」と,いつでも,どこに行っても,やり続ける朴槿恵率いる韓国 — 結婚式のお祝いのスピーチでもこれを言いそうな偏執狂 — に,もういい加減,日本だけでなく,米国も,国際社会(中国,韓国を除く)も疲れている。

もう疲れた。それが実情ではないだろうか。ならば,歴史へのおわびではなく,別の,現在に関する,大人の対応 — 要するに,経済という陰険な方法 — でこいつらを黙らせよう。韓国も中国もここ数年で経済失速が可視化されている(とくに韓国。今年米国が金融引き締めを実行に移したら,外資が引き上げて金融パニックが起きるかも知れない)。なのに,逆に経済的に息を吹き返しつつある日本は,かつての「協力」を見せるそぶりがまるでない。通貨スワップ協定停止,外務省による「価値観共有する国」文言削除,AIIB 不参加,等々,冷たい対応である。日本政府はいまやそういう高見の見物式冷淡モードではないかと思われる。困っているみたいだね,どうせ金(補償)が欲しいんでしょ,でもやらなーい,みたいな冷笑家モード。日本人である私は,もちろん,この腹黒い大人の態度を支持する(安倍さんは毛並みが良すぎて人間としては好きになれないのだが)。

それにしても,朴槿恵大統領は,安倍首相米国訪問の直前に南米を歴訪した。安倍首相がアジア・アフリカ会議,米国議会で演説をなし世界の注目を集め,中国・習近平主席とも会談を果たし,外交力を見せつけているちょうどそのとき,セウォル号沈没事故から一年という節目にもかかわらず,被害者家族の抗議を放水で黙らせ警察に逮捕させ,また,アジア・アフリカ会議にも呼ばれず,目的がなんなのか韓国国民にもわからない南米歴訪(ホント,外遊)をやっている。自ら選んだ首相がまたもやスキャンダルで辞任(いったい何人目だ?)。なんと安倍と対照的なことか。そして,ブラジルなどの日韓と直接関係のない第三国でも,やっぱり日本の悪口を言って歩くだけの,あいも変わらぬ告げ口外交。で,挙げ句の果てに胃けいれんを起こして帰国? ホント,無惨な偏執狂としか言いようがない。

ここまで病的,支離滅裂なので,日本の愚かな嫌韓ヒマ人たちの笑い者になり,よって(「いつまでも大統領でいて欲しい」と)溺愛されるのである。韓国にも,国を憂え,日本との関係改善を切望する良識家がたくさんいるはずである。このままでは朴任期中に韓国がなんらかの破綻,ハードランディングを起こす可能性が十分にあるように思われる。韓国が不安定になると北朝鮮,中国は何をやらかすかも知れない。俺は日本政府の大人の腹黒さを支持していんだが,安倍さんも,いくら女王様が愚かでも,あんまり韓国に対し全方位的に冷淡であり続けるのはどうかとも思うところである。

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今夜は妻,娘と三人でお好み焼きを食った。