2015 黄金週間

2015 年もはや黄金週間に突入した。三月から四月にかけて面倒な仕事に煩わせられ,四月二十八日にようやく一段落した。顧客事務所が移転するためその引っ越し作業で三十日,五月一日と出勤し,二日からおやすみとなった。ま,ウチは,妻と散歩するくらいで,どこに出かけるでなし,日本経済の活性化になんの寄与もしそうにない。連休明けからまた忙しくなるので,ゆっくり惚けていよう。

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大企業でないかぎり五月一日は出勤日で,私は休日出勤,妻は通常の出勤日だった。この日はいわゆるメーデーで,「万国の労働者よ団結せよ」的プロレタリアートが集まってブルジョワジーにもの申すというのがもともとのあり方で,実際,連合などは,派遣法改正,格差社会問題等々,同時代の労働者環境の問題を提議する集会を行っている。

私の世代はすでに労使の対立が社会問題化することのほとんどなくなった時代に社会に出た人たちで,労働争議は過去の話のような時代に生きている感がある。その一方で,最近は若者,母子家庭の貧困が深刻であり,目も当てられない状況なのに,世の中はあんまり騒がない。なぜなんだろうか。集団的自衛権法制化,デフレ経済からの脱却も重大な課題ではあるけれども,「働けど楽にならざりじっと手をみる」みたいな社会こそ見るも無惨であって,政府はもっと足下をきちんとしたらどうかという思いがする。

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そして今日,五月三日は憲法記念日。朝日新聞は,当然のごとく,昨今の安倍政権による集団的自衛権問題の性急さへの不安を煽り,平和憲法護憲のキャンペーンを張っていた。

私も護憲である。憲法九条は,これを変える必要を認めない。絶対に戦争をしてはならないからである。それでも,隣のヤクザ国家 — 中国の軍拡と強圧的海洋進出,北朝鮮の核開発など,わが国の安全保障問題は深刻だ。前科者ロシアも信頼できない。韓国も身のほど知らずに(というのも,対峙すべき敵は北の同一民族なのに,協調すべき対日・対米関係を安価なナショナリズムゆえにおろそかにしているからなのだが)金と力のヤクザ中国に媚び諂っていやがる。米国の影響力が落ちるとこいつらは何をするかわからん。なんと日本の隣国はどいつもこいつも鼻つまみものなのか。

日本国憲法前文は「日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した」と宣言する。平和憲法の前提として「平和を愛する諸国民の公正と信義」への信頼があるわけだ。中国,北朝鮮の「公正と信義」を信頼できないとき — これは誰の目から見ても明らかではなかろうか —,ではどうするのか。

日本にはすでに自衛隊がある。軍隊ではないというのが政府見解である。子供騙しもいい加減にしろとはこのことである。自衛隊はなにはさておき陸海空戦力である。憲法に「戦力を保持しない」とハッキリ書いてあるのに,すでにこんなウルトラCをやってのけている日本は,この憲法前文の前提が崩れる限りにおいて,解釈で自衛隊を発動させることができる。集団的自衛権の法制化により,自国の安全保障のために,同盟国のために,海外派兵が可能になる。憲法解釈から現実的にこんなウルトラCをやってのけた — 要するに言っていることとやっていることがまったく違う — 日本は,憲法改正どうのこうのいう前に,やるときはやるだろう。その場合,ユートピア的なワイマール憲法下でナチス・ドイツが法解釈に基づいて戦争に突入していった構造に酷似しており,かつて麻生太郎財務相が「ナチスのやり口に倣う」の発言で物議をかもした問題論の核心は,ここにあるように思われる。

平和憲法を掲げたまま,与野党はギャアギャアやり続けておればよいと思う。そして事が起こったら,改憲などを経ずとも,なんらかの既成事実を理由に,なし崩し的に「やるときはやる」に雪崩を打って突き進むだろう。そして,野党第一党の民主党はただのポピュリズム政党だから,そのときは野党としての役割を放棄して,簡単に世の中に迎合するに違いない。朝日新聞も戦争翼賛に回ること間違いない。歴史は繰り返す…

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今日,三日,妻と JR 川崎駅周辺に徒歩で出かけた。ラゾーナ川崎でピンクおじさんに遭遇。この人は,おしろいを塗りたくり(顔だけでなく手足にも!),ピンク色のブラウスとミニスカートを着け脚をむき出しにして,さいか屋(川崎の老舗デパート)などを歩く川崎の有名人なんである。ところで,さいか屋はこの続くデパート業績不振の煽りでとうとう今年五月末に店じまいをすることになってしまった。昭和の雰囲気をプンプンさせた,時代遅れ感のひどいデパートだったことは確かだが,廃業に追い込まれるのは少々淋しい気もする。

妻がコンビニで映画のチケットを購入している間,週刊誌売り場をぶらぶら。エロ週刊誌の表紙にありし日の夏目雅子の姿を認めておっと食指が動いた。

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なんかつまりません。ロシアのジョークをひとつ楽しんでください。ブレジネフも,フルシチョフも,知らない人には,面白みが半減するでしょうが。

 悪魔たちがブレジネフを連れて,地獄を案内してまわっている。
「いいな,どの拷問にするか自分で選ぶんだぞ」
 とてつもなくでかいフライパンでジュウジュウあぶられている罪人のそばを通りかかると,悪魔がきいた。
「あんなのはどうだ?」
 ブレジネフはぶるぶる震えながらいった。
「めっそうもない……。ことわる」
 さらに先へ進むと,真っ赤に焼けただれた焼きごてで,罪人がひっぱたかれていた。
「あれなんかどうだ?」
 ブレジネフはぶるぶる震えながらいった。
「とんでもない……。ことわる」
 さらに先に進むと,フルシチョフがブリジッド・バルドーと抱きあってベッド・インしているところへ出くわした。
 それを見て,ブレジネフが叫んだ。
「あれがいい! あんなことをしたいと思っていたんだ!」
 悪魔たちがいっせいに腹を抱えて笑いだした。
「ワハハハ! 勘違いするな,あれはバルドーのほうが拷問されているんだぞ」
ジャンナ・ドルゴポーロワ『ロシアより笑いをこめて』深見弾訳,光文社文庫,1986年,24-25頁。
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