衆院選 2014 与党圧勝

何を問う選挙かわからなかった今回の衆院選 2014。自民党が単独過半数どころか 300 議席をも伺う趨勢で,いまこの時点ですでに,公明党と合わせ,国会運営上の安定多数とされる 266 議席を越えて,与党圧勝となった。大方の予想通りである。与党議席三分の二以上となると,参議院で否決した法案の再可決だけでなく,憲法改正発議も可能になる。

また,何のための選挙かわからなかった国民は,せっかくの休みを満喫したかったのか,家で鼻クソをほじくっていたのか,たんに仕事をしていたのか,そもそも選挙があることを知らなかったのか,選挙権を放棄する人たちがたくさんいたようで,いずれにせよ,投票率が戦後最低水準の 52%(NHK 推計による)だったようである。投票を促す仲間由紀恵さんポスターも,効果はイマイチだったわけだ(俺なんか,総選挙であんなに盛り上がるAKBの女の子をなんで使わないのか,と皮肉に考えてしまうんだけど — コピーは「あたしたちだけでなく日本のためにも投票してください」ってなもんや)。

選挙に行かずに政治家の失政を託つのはいかがなものか。ネットで「投票しないことで意思を示す」みたいな愚かな発言を目にしたが,これは,在特会の差別的ヘイトスピーチを正当化するに言論の自由を主張するような吐き違え完全XXと同じように俺にはみえてしまう。万世一系の皇国の国粋主義者,自由と平等と平和と民主主義の支持者を自認している俺としては,これこそ国の恥にして平和ボケ。ホント,情けなくなってしまう。

佐藤優がラジオで言っていたが,ロシア人は,候補者が悪いヤツか,もっと悪いヤツか,どうしようもなく悪いヤツしかいないとき,どうしようもなく悪いヤツが当選しないよう,悪いヤツに投票しに行くそうである。ロシアのような民主主義社会としては首を傾げさせるところのある国ですら,それくらいの「民意」の主張があってしかるべきなんである。どいつもこいつも頼り無さげの候補者ばかりでも,「今の政治,自民党には頭来る」ってんなら,せめてその対立候補に投票しに行けというのだ。

ま,与党圧勝。安定政権というのが経済問題にとどまらないタイムリーな政策実行の要件ともいえるので,悪いことではない。中国・韓国・北朝鮮が不安定にみえるだけ,外交においてもよいと思う。これで,選挙の洗礼を経た安倍政権は,さらに大いばりでアベノミクス,安全保障政策を押し進めてくれるわけである。俺は,今回のボーナスがアベノミクスのおかげか前回より増えた,っちゅうのもあって,個人的にはそれで構わないんだけど。でもな。近視眼的経済問題ばかりにフォーカスせず,少子高齢化社会問題とか,貧困母子家庭問題とか,非正規雇用問題とか,女性の社会進出促進とか,日本の未来を左右する難しい課題にも,もっとまじめに取り組んでほしい,と思うところである。

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仲間由紀恵の選挙広報(12.8 yahoo!ニュースTOP)
*** 12.17 付記 ***

選挙の結果は,次世代の党が大きくへこみ,共産党が意外にも議席倍増となった。次世代と社民党は右と左のアホ両極みたいな非現実的妄想政党で,こいつらが惨敗したのは,投票率が低かったといっても,日本国民がバカではないことを証明したように思う。元軍人・田母神氏のたわごとが通じるのは,差別的ヘイトスピーチになんの疑問も覚えない,常識のない,子供だけである。日本の有権者は総じてまことに常識的である。共産党の躍進は,世の中を呪っている人たちの声の反映だろうか。

それにしても。民主党・菅さん(そう,千年に一人の愚宰相だった,あの歴史的人物),選挙区で落ちたのにまたもや,またもや,比例で復活当選。しかも,475 番目,最後の当選者だそうである。小選挙区で勝てない — つまり,いちばん身近な地元の有権者からいらんと言われた — ヤツがなんで復活すんねん。海江田さん,民主党代表でありながら落選し,これからは牧場投資に専念することになりそうである。大将の首が取られる政党って…,失笑至極なり。

民主党はもはや,「こういうのが過去に政権を担っていたことがあるんだって?」式の諸行無常のお笑い野党になり下がってしまった(小沢問題で国会審議の足を引っ張ることしかしなかった,かつての野党時代の谷垣自民党より酷い)。今回もこれといった政策を何も提案できなかったばかりか,かつてあれだけ消費増税を推進しながら,選挙になったら増税反対なんて言う権力欲だけのポピュリズム政党を,いったい誰が信じるか,ってなもんや。この二年間いったい何やってたんだ? 野田・元総理には頑張ってもらいたいと個人的には俺は思っているんだけど。

日本国民はバカではありません。ホント,そう思います。