7.28 朝日新聞朝刊・東野圭吾『白夜行』

トップ「関電,歴代首相に年2000万円」。こんなのがなんでトップ記事になるのか理解できない。朝日新聞だって,こんな癒着は昔からうすうす知っていながら,電力会社から年間ナン億もの広告料を受け取っていたのではないのか? 戦争を囃し立てていたクセに戦後は手のひらを返して連合国追従に回った構造と,まったく同じである。

一面左「高1,同級生殺害の疑い」。高校生が友人を殺す。ひでえ話だが,あんまり驚かない俺は頭がおかしいのか。「長崎は前も同じような事件あったよね」とは妻の言。俺はまったく記憶にない。被害者とその遺族の無念。これが自分の娘だったらどうか。この恨みどうして晴らそうか。

国際面「ガザ戦闘再開,遠のく停戦」。「イスラエルが攻撃再開」との見出し。朝日からすればハマスは被害者だという構図らしい。人間を銃弾の楯にするようなことをやっているのはどっちだ? 朝日はフェアじゃない。

三面「地方選投票率急落,平均39%」。野々村くんみたいな議員を目の当たりにすりゃ投票意欲も殺がれるわいな。でも,この無関心で,野々村くんはいよいよ増長するわけだ。あ,野々村くん,もう辞めたって? 野々村くんに輪を掛けたような,既得権益を謳歌なされている先生たちが他にも大勢いるはずである。

スポーツ面「豪栄道大関確実,優勝は白鳳」。おめでとうございます。もちろん,このことばは白鳳に。

今日は第一次世界大戦勃発からちょうど 100 年。天声人語は第一次世界大戦のころの各国首脳の髭の話。髭のあるなしで戦争と平和の象徴的な対比を見てとる本を紹介しながら,「昨今の内外の不穏さをひげのせいにはできない」と結ぶ。何が言いたいの?

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東野圭吾の『白夜行』を読んで,少し酷薄な荒廃した気分に侵されている。描かれた世界の陰湿さによってというより,ミステリーとしてなくてはならぬ大団円のなさ,つまり感情と論理のカタルシスの欠如によって。物語のさまざまな人々の運命が中途半端で終わっていて,もう,チョー消化不良なんである。

オオカミに育てられたニヒリスト男子と,ネコ科の猛獣に育てられたニヒリスト美女が引き起こす犯罪のいったいどこに悲劇があるのだろうか? だらしのない親への恨みで極悪非道の犯罪者に育つのは悲劇だろうか? 俺からすればただの喜劇である。そりゃ,オオカミに育てられりゃ箸でご飯も食べられず,常識も通じず,ちょっとしたことで人の首根っこに噛み付きもするわいな。文庫で 850 ページの大著。お疲れさま。

悲壮な主人公・男女は頭がよくて美男美女におわすわけだが。映画化では高良健吾と堀北真希が演じたらしい。お疲れさま。もちろん俺はまだ映画は観ていないんだが。

本書の解説を担当している作家・馳星周は「ノワール小説の傑作,嫉妬を感じる」などと愚にもつかないことを書いているし(「ノワール」たる「わからなさ」はこの小説にはないので,俺なんかこれがノワール小説だなんて思わないから),読者も皆この『白夜行』を絶賛しているらしいのだが...「高1,同級生殺害の疑い」にまったく驚きを覚えないのと同様,俺は頭がおかしいのか。

細部は面白かったので,東野圭吾の別の作品も読もうかな。