バカ亭主モードはまだまだ続く

FIFA World Cup 2014 Brasil 真っ盛り。日本代表はグループリーグ敗退が決まってしまった。残念。無念。

やっぱり大久保選手は — 俺の嫌な予感どおり — 大会前の強化試合・ザンビア戦でのスーパーゴールで運(てゆうか,10 試合で 1 ゴール上げられるかどうかの統計学的可能性)を使い果たしてしまっていたようである。決定機をきっちり外してくれるのもこれまで何度も,何度も,見せつけられて来たとおりで,俺は少しも驚かなかった。でもな。「これまでやって来たとおりの日本のサッカーをやる」と監督,選手の皆が口にしていたわけなのに,ならば,どうしてアジア予選突破からこの一年間で固めて来たメンバーで試合に臨まず,厳しい公式試合で一度も起用しなかったサプライズ選出選手を攻撃の中心に置いたのか。この一点だけはどうも納得がゆかなかった。人間は直近で起こったことを根拠に意思決定をなす,とどこかで聞いたことがあるが,ザッケローニ監督もまさにそうだったようである。思うに,ザンビア戦終了間際のあのスーパーゴールのおかげで,すべてが狂ってしまった(*)。

(*)つまり,大久保選手の動き自体はキレがあり悪くなかったが,「これまでやって来たとおりの日本のサッカー」とは異質で,彼がチャラチャラ動いたおかげでチームの前線のバランス,連携がブチ壊れてしまった。別な見方をすれば,大久保が香川,本田,岡崎のスペースを消してしまった。もちろん大久保選手に決定力があればハッピーなわけだが,統計通りのどっちらけだから仕様がない。国際試合は J リーグとは違うのである。

いや,はっきり言う。なんで斎藤学くんをどこかで使ってくれなかったの? 重たいギリシア相手に,どうして大久保を,年寄りで運動量の低い大久保をワントップにしたの? アジリティの高い柿谷,斎藤学のほうが相手ディフェンダーを引きつけて危険なスペースを作れたのではないか?

ま,いいや。こんなのは結果論,ただの愚痴に過ぎない。イングランドやイタリア,スペインという超エリート集団ですら厳しい現実に打ち拉がれている。これに比べりゃ新参・日本の惨敗は,まだまだとても「悲劇」と呼べるレベルではない。それよりも,なによりも,択ばれし三十二の国々のひとつとしてこの夢の大舞台に日本のナショナルチームが立てること。彼らを日本国じゅうが固唾を呑んで見守り,一喜一憂できること(今回は一喜十憂以上のていたらくだったわけだが)。これこそがワールドカップという祭典の一番素晴らしいところ。この一体感,健全なるナショナリズムを味わわせて貰えただけ,ザッケローニ監督,日本代表選手,スタッフの人たちに最大級の感謝を述べたいものである。

* * *

昨夜は夜中 1 時からのウルグアイ vs イタリア戦を観,5 時からの日本 vs コロンビア戦を観,朝までサッカー三昧だった。この日のために年休を取得していたのだった。

ウルグアイ vs イタリア戦は当然ながら,猫をだっこしながらの高見の見物モード。スアレスのようにサッカーが上手くなるには歯も丈夫でなければならないと知らされ,驚く。敗色濃厚のイタリアの最後の FK ワンプレーに名キーパー・ブッフォンまでが敵陣ゴール前に上がって来る。「おーし,ブッフォンのゴール観てぇ!」。奇跡は起こらなかった。

日本戦はハチャメチャモードだった。そしてやはり奇跡は起こらなかった。「今野,またやらかしやがった! なにやってんだ,バカヤロー」,「オカザキー,よっしゃー!」,「ウッチー,いいぞ! いいぞ!」,「大久保ぉ〜,また外しやがったー,ハー,いまここで代表引退を宣言して,さっさと学くんと替わりやがれー」,「もー時間ないんだから,キーパー川島も出て来い,代表初ゴール見せてくれー」... とまあ,息子と二人で朝方に大騒ぎ。日本が失点するたびに私が悶絶して地べたを転げ回るので,二匹の猫は戦々恐々として逃げ回り,寝ている妻のところに避難してニャーニャー啼くは,バカ男二人が絶叫するはで,妻はうるさくて寝られなかったらしい。「もっ! ワールドカップバカ男が蔓延して女はチョ〜イライラ!」。

ワールドカップはまだまだ続く。バカ亭主モードもまだまだ続く。