東風凍を解く立春になったというのに,先週の陽気とは打って変わって寒さがぶり返し,今日は記録的な大雪となった。どこにも出かける気はしなかったが,煙草が切れてしまい,買いに出ることに。よく利用する自販機までの雪道を二キロほど歩いた。粘り気のある雪でしかも車や人の痕もまだ稀で,空と道は一面に白く柔らかかった。吹雪いて指先が,耳が凍えて堪えた。
ロシア象徴派の詩人・画家マクシミリアン・ヴォローシン(1877-
三韻脚アナーペスト(弱弱強格: трехстопный анапест)詩格による三拍子のダンスのような粋なリズム。なんとなくネクラーソフ風を感じさせる言葉。はかなくもすれ違うロマネスクな性愛を詠ったものだろう。ロシア・シンボリストのご多分に漏れず,ニーチェの影響が感じられる。
Максимилиан Волошин |
マクシミリアン・ヴォローシン |
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Если сердце горит и трепещет, Если древняя чаша полна... — Горе! Горе тому, кто расплещет Эту чашу, не выпив до дна. |
もし こゝろが燃え うち震へるのなら もし 古への聖杯が なみなみと注がれ… — あはれ この杯を漏らし 零す者は あはれ 底まで吞み尽くさぬ者は |
В нас весенняя ночь трепетала, Нам таинственный месяц сверкал.. Не меня ты во мне обнимала, Не тебя я во тьме целовал. |
ぼくらのなかで 春の夜は搖れうごき 奇しき月光は ぼくらを照らす… ぼくのなかのきみが抱いたのは ぼくではない 闇のなかのぼくが口づけたのは きみではない |
Нас палящая жажда сдружила, В нас различное чувство слилось: Ты кого-то другого любила, И к другой мое сердце рвалось. |
苛む渴きが ぼくたちを結びつけた ぼくたちのなかに 別々のこゝろが ひとつに流れ合つた きみは別のだれかを 戀した ぼくは別のだれかに こゝろを砕いた |
Запрокинулись головы наши, Опьянялись мы огненным сном, Расплескали мы древние чаши, Налитые священным вином. |
ぼくらの首は のけぞり 火のやうな 夢見に醉ひながら 古への聖杯を 徒に流失させたのだ なみなみと注いだ 聖なる葡萄酒を |
(1905, Париж) | (1905年,パリ) |