川崎大騒ぎ

杉本裕太容疑者が 7 日に横浜地検川崎支部から逃走し,9 日に再び逮捕される事件。横浜で杉本容疑者が逮捕されたと聞いたとき,ほっとすると同時に思ったこと — まだ捜索が手薄でしかも目と鼻の先にある東京都内(蒲田あたり)ではなく,四千人の警官を動員した神奈川県警管轄内で逃げ回っていたなんて,どこまでバカなんだ。ま,指名手配され,テレビでも苦みばしった(見るからに悪辣な)彼の顔写真が大きく出たからには,捕まるのは時間の問題だったかも知れない。

この事件は神奈川県内に大騒動を引き起こした。容疑者が再逮捕されるまでの間,とくにわが川崎市では,行くところ警官が目についたし,学校では集団登下校を行うなど,騒然としていたといってよい。娘によれば,杉本容疑者のジモティな(地元特有の)話題が LINE に飛び交っていた。彼は「集団強姦罪」の容疑をかけられていたそうである。弱冠二十歳にして奥さんもお子さんもいるというのだから,もっと覚悟をもってまじめにやれよといいたいところではある。まだ若いのだから,被害者に謝罪し罪を償って(本当に犯罪を犯したのなら),出直してもらいたいものである。ごくごく上っ面の三面記事から,杉本容疑者について私のような当事者ならぬ他人がホザけるのはこれくらいか。

それにしても,杉本容疑者が連続殺人犯・連続通魔犯・連続強姦犯・連続放火犯でもあるまいに,これほど戦々恐々とした雰囲気になるのは少し騒ぎ過ぎじゃないかというのが,私の正直なところだった。世の中には,もっと極悪な犯罪を犯しながら潜伏している人間は結構いるのではないかと思われるから。たとえば,先日起きた,「餃子の王将」の社長が銃で殺された京都の事件 — ヤクザ絡みのシンプルな事件ですぐ犯人が捕まると私は思っていたのに,まだ犯人は不明で,捜査状況の進展がニュースになることも稀になりつつある — のほうが,凶悪事件なのになにもわからないだけに,よっぽど怖い。京都府警科捜研・榊マリコなにやってんだ? 京都では集団登下校するなどの厳戒態勢が敷かれているのだろうか。そんな話は聞かない。なんか警察が騒いでいるかどうか(杉本事件は,取り逃がした失態ゆえのメンツの問題だから,あそこまで神奈川県警が騒いだのだろう)で世間のインパクトが変わったとしか思われない。

ここのところ川崎は事件が集中(?)。川崎市在住の小学校教員が小遣い稼ぎに学校図書室の本をネットオークションで売り捌いていたとか,JR 横須賀線・武蔵小杉駅でラッシュ時にエレベータが突然逆走し十名のケガ人が出たとか,脱法ハーブ事件とか。そこへ杉本クンの捕物。冬期五輪直前のロシアのテロ事件や三菱マテリアル四日市工場爆発事故,安倍首相靖国参拝問題,沖縄県知事の辺野古沿岸部埋立承認問題なんかに比べれば,取り立てて騒ぐ話じゃないんだけど,身近なところで立て続けなので,家族の晩ご飯の話題に。