2013 コンフェデ杯・なでしこ欧州遠征

FIFA コンフェデレーションズ・カップ 2013 は,ブラジルがスペインを 3-0 で下して三連覇を果たして終わった。ネイマールという選手は期待される局面で期待されるプレーをし期待される結果をきっちり出してしまう。ここまで凄い奴だとは思わなかった。ブラジルは大会前の下馬評では組織的にまだ充分な仕上がりでないとされたが,さすが王者である。来年のワールドカップでも圧倒的な強さを見せつけそうである。ワールドカップ開催に対する反対デモが心配ではあるが。

ネイマールのための大会だったように思われるくらいだったわけだが,個人的には準決勝のスペイン—イタリア戦がいちばん素晴らしい試合だったと思う。主力をケガで欠いたイタリアをスペインがボール支配率でもシュート数でも圧倒して完勝する,と思っていた。ところがイタリアはなんとスリー・バックの布陣で臨んで,中盤の厚みを増す工夫を見せ,意外にも,前半はイタリアが優位に試合を進めた。後半に入ってイタリアの動きに適応しはじめたスペインは徐々にイタリアを押し込むようになる。延長戦に入るころにはスペインのゴールは時間の問題のように思われた。なのに,イタリアはしぶとく守り,数少ないチャンスを決定機に持ち込む勝負強さを見せた。結局スコアレスのまま PK 戦にもつれ込み,7-6 でスペインが勝利した。

蒸暑いピッチのなか,延長戦で両チームともに体力の限界にあるのがありありとわかった。それでも,粗雑さ・手抜きなく,危険なプレーのない,これこそ誇り高き欧州ナショナルチームに相応しい締まった試合だった。7 人まで PK に臨むなどという集中力の高い PK 戦をはじめて見た。勝負が決した直後,カシージャスとブッフォンが抱き合ってお互いの健闘を讃え合うのにはこみ上げるものを感じた。己も最高のパフォーマンスを出し切った。相手もその力の限界を振り絞ってそれに応えた。そこには,相手に対するピュアな敬意と,競技の素晴らしさに対する感謝・喜びとが滲み出るのである。スペイン代表とイタリア代表はそれを見せてくれた。これこそスポーツの国際試合に相応しい光景だ。と,つい,先日観た韓国 VS イラン戦での選手・監督・サポーターすべてにおける醜悪な劣等国ぶりを思い出してしまい,やっぱりアジアはまだまだ,まだまだだ,という劣等感に打ち拉がれてしまった。

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土曜日の夜中は,なでしこ VS ドイツ。残念ながら 2-4 の惨敗。それでも,なでしこは決定機についてはドイツに優るとも劣らないくらい演出できていたのではないだろうか。コンフェデでの男子代表の姿に比べるとまだ納得のゆくものだった。

大儀見選手はまたもや大きくなったようで,もう頼もしくてならなかった。前回アジア杯(兼ロンドン五輪予選)までは走力・守備力がダメで,決定機でフカしてしまい,苛立たせられたものだが,結婚してからは,見た目も凛々しくなり,インタビューでも斜に構えるところがなくなり,プレーも雑さが消え,何より,鬼のようなキープ力と恐るべき決定力とを身に着けた。ドイツ戦でも1ゴール,1アシストで彼女ばかりが目立っていた。ビューティフルな選手になったものである。

それにしても,佐々木監督,もっと若い人も使ったらどうでしょうか。若きベテラン・岩渕選手が 89 分に投入されたって,彼女が何かする前に,観るものが期待感を抱くうちに,試合が終わっちまったじゃありませんか。いまさら,いくらなんでも,丸山選手,安藤選手はないように思うんですけど。ここ二年くらいまったく実績はなし,全盛期のスピードはなし,ドイツ戦でも凡ミスばかり。若い選手がそれ以下だとなると,それこそなでしこには未来がないように思ってしまう。