番号法案・シマノフスキ

今日,会社で「番号法案」の話題があった。これ,昨年までは「マイナンバー法案」と称されていた,いわゆる「国民総背番号制度」のこと。正式には,社会保障・税番号制度のための,「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」。昨年 2 月に国会に提出されるも,与野党間で議論が紛糾するうち,年末の総選挙で廃案になった。安倍内閣が発足してこの 3 月に閣議決定され,今国会に再提出された。それに伴い通称も「番号法案」に改められた。いま行われている 183 回通常国会で可決される見通しらしい。一旦廃案になって復活したこともあり,スケジュールが後ろ倒しになり,2015 年秋に番号通知,2016 年 1 月から利用開始,という大日程が,内閣官房のウェブ資料に掲載されている。

政府はこの制度のために 3000 億円のシステム開発をするというので,IT ゼネコンも虎視眈々というところではなかろうか。個人に ID が振られるので,コンシューマー向けサービスやら,金融,クレジット関係の業界も大きなシステム改修を余儀なくされる。携帯電話やら,何から何まで,ID が契約に必要となるはずで,不正がやりにくくなるだろう。ID をキーとして収入もきっちり国・自治体に把握され,脱税は難しくなる(このための法案だから)。生活保護不正受給を巡る大騒ぎは,思うに,この法案を通すための政府の煽りである。番号法案は,消費税増税とともに,官僚の長年の懸案のひとつではなかろうか。消費税増税とともに,野田内閣の置き土産。制度の善し悪しは別として,われわれシステム屋にとってはチャンスである。

* * *

本日のレコードは,ポーランドの作曲家カロル・シマノフスキ。二つのヴァイオリン協奏曲と,交響曲。ショパン以外にめぼしい作曲家を出していない(といっても,現代音楽好きにとっては,ルトスワフスキ,ペンデレツキを生んだ国として第一流のお国柄である。ええと,日本は...)なか,シマノフスキは 20 世紀初頭のロマンティックな新音楽の,ポーランドの騎手である。

20130401-zymanowski.png

音響はロシアのスクリャービン風のロマンティックなモダニズムが強い。だけど,スクリャービンみたいに「おいおい,ちょっとどこ行っちゃうわけ?」みたいな曲がり方をしない,わかりやすいロマン主義である。ヴァイオリン協奏曲第 1 番作品 35(1919)が好みである。Szymanowski - Concertos pour violon Nos 1 & 2, Konstanty Andrzej Kulka (Vln), Jerzy Maksymiuk (Dir), Orchestre symphonique National de la Radio Polonaise, 1979 年,仏 EMI 輸入盤。Szymanowski - Symphony No. 2 & Symphony No. 3 "Chant de la nuit", Antal Dorati (Dir), Detroit Symphony Orchestra, 1981 年 LONDON レーベル国内盤。 私はアナログレコードしか所有していないが,これらの演奏は CD でも出ていて,現在も入手可能のようである。以下にアマゾン・リンクを設置しておく。

Szymanowski: Violin Concertos
Konstanty Andrzej Kulka (Vln)
Jerzy Maksymiuk (Dir)
Orchestre symphonique National de la Radio Polonaise
EMI Classics Imports (2002-10-29)
シマノフスキ:交響曲第2番 & 第3番
アンタル・ドラティ (Dir)
デトロイト交響楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック (2007-07-25)