大学三年になる息子がカードで買い物をしたらしく,先月,8万円もの督促が来た。この野郎,財布にカネもねぇのに買い物すんな! もう大人なんだから「カネを借りるな」とはいわんけどな,返済期限を超過するのは世の中に迷惑を及ぼし,自分の経済的信用をなくすことをよく考えろ! きちんとしなさい! 働いて自分で始末しろ!— と私は突き放した。
息子は最寄駅そばにある24時間営業の飲食チェーン店でアルバイトをはじめて,もう足掛け三年になる。駅周辺を歩くと知った顔ばかりらしい。彼は,その後の半月で深夜9時間のシフトを10本くらい入れて,11月初旬で借金を完済した。こうして親を頼らずに直ちに何とか対処するところは,わが子ながらエライ。
と,財布から10万円を私に見せびらかす。借金払った残りでパチンコをしたら10万勝ったらしい。ま,これもあっという間に露と消えてなくなるに違いない。宵越しの金は持たないタチなのだ。つまらないことに財布の中味をはたいて悔いない。誰に似たのか。言うまでもなく,母親にではない。
妻は「そんなアブク銭をもつと何をするか知れない,アンタ,風俗とかに行くんじゃないわよ!」と息巻く。私はというと,自分で稼いだカネだから人様に迷惑をかけない限り好きなようにしろ,である。もう子供ではないのだ。