John Zorn - Filmworks XXI

ジョン・ゾーン John Zorn の CD を入手。彼が今世紀に手がけた,映画 Belle de Nature 及び The New Rijksmuseum のためのサウンドトラック集である。Belle de Nature からのエキセントリックなヌードと蝶のスチールがジャケットを飾っている。きれいである。こんな映画は海猿が踊る大捜査線バンザイの日本では一般公開されなかったと思う。残念である。なんとかビデオで観られないものか。

ジョン・ゾーンの名をクロノス・カルテットの CD で私は知った。それに収録された一曲,声,ターンテーブルと弦楽四重奏のための『Forbidden Fruit 禁じられた果実』は,オルターナティブというのか,ちょっと「キ印」的エロスの音響で魅了してくれた。太田裕美,クリスチャン・マークレイ,クロノス・カルテットの共演というのもビビッドだった。

Film Works XXI もジャンルの特定の難しい音楽である。Belle de Nature はエレクトリック・ギター,ハープ,ダブルベース,一方 The New Rijksmuseum はハープシコード,ピアノ,ヴィブラフォン,パーカション,という奇矯な楽器編成で,音響はバラード・ロックのようでもあり,フリージャズのようでもあり,実験的現代音楽のようでもある。でも,きちんと旋律線が出ているわかりやすい音楽であり,楽器の扱いの異様さによりただならぬ味わいを醸し出している。ギターを弾いているのは米国フリージャズの名手マーク・リボー Marc Ribot,ハープシコード演奏は作曲者自身によるものである。

ジョン・ゾーン大好き。彼は日本に住んでいたことがあり,親日家としても知られている。意外にも,日本の「歌謡曲」の大ファンだそうである。彼の音楽からはまったく想像できないのだが。

Filmworks XXI: Belle De Nature / Rijksmuseum
Marc Ribot (G), Carol Emanuel (Hp), Shanir Ezra Blumenkranz (Bass),
John Zorn (Cem, Glass Per), Uri Caine (Cem, Pf),
Kenny Wollesen (Vibraphone, Per), Cyro Baptista (Per)
Tzadik (2008-10-28)
Winter Was Hard
Kronos Quartet
太田裕美 (Vo)
Christian Marclay (Turntable)
Earl L. Miller (Org)
San Francisco Girls Chorus (Chor)
Nonesuch (1994-10-26)