お彼岸 - Thelonious Monk & Bach by Brendel

暑さ寒さも彼岸まで,とはよく言ったもので,今日は本当に涼しくなった。昨夜来の大雨で,今朝がたの晴れ上がった大気はことに冷ややかで清々しかった。夜までは雨は降らないとのことだったので,妻と川崎駅周辺まで散歩と買い物に出かけた。妻はお萩をやたらと食いたがったが,「せっかくウォーキングでカロリーを消費したのに?」と私が茶々を入れたからか,お彼岸なのにお萩は食べずじまいとなってしまった。

晩ご飯のあと,雨だれとともに,アナログ・レコードを二枚聴く。Thelonious Monk のピアノ・ソロ『Thelonious Himself』米 Riverside Records 輸入盤と,Alfred Brendel ピアノ独奏『J. S. Bach - Italian concerto BWV 971, Chromatic Fantasy and Fugue in D minor BWV 903, etc.』蘭 Philips 輸入盤。

セロニアス・モンクのジャズ・ピアノは不滅の名盤の誉れ高い 1957 年のモノラル録音。"April in Paris" からはじまる演奏すべてにおいてグリッサンドが渋くかつおしゃれで,こんな演奏を聴きながら独りで一杯やる姿が様になる男はカッコいいなぁと思いながら,素面で楽しんだ。

シューマンやシューベルトが得意だったブレンデルのこのレコードは,私の知る彼の唯一のバッハ録音である。ところが,イタリア協奏曲の第一・第三楽章の愉悦といい,第二楽章の衷心さといい,数あるバッハ・ピアノ演奏のなかで,スヴャトスラフ・リヒテルの平均律クラヴィーア曲集と並んで,私のもっとも愛聴する演奏である。コラール前奏曲 "Ich ruf' zu dir, Herr Jesu Christ," BWV 639 はブレンデルの純な魂そのもののように私には聞こえる。

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この二つの盤は現在も CD で入手可能である。

Thelonious Himself
Thelonious Monk (Pf)
Ojc (1987-07-07)
バッハ:イタリア協奏曲、他
アルフレート・ブレンデル (Pf)
ユニバーサル ミュージック クラシック (2009-10-21)