U-20 女子ワールドカップにおいて日本は予選グループを1位で突破した。まずはベスト8。
ヤングなでしこは,個々の選手の足下のテクニックが素晴らしい。スイス戦での田中陽子選手の左右で決めた FK 2 ゴール,西川選手の下がり気味で振り向いて決めたゴールは圧巻だった。私は,大会前は横山久美に注目していたのだけれども,本大会に入って田中美南という凄い右サイドアタッカーに惚れ惚れさせられた。それ以外の選手にも,これまでの 3 試合で,惜しいシュートは数えきれない。これまでの日本代表にない攻撃的サッカーが彼女たちの持ち味のようである。
だからなのか,それはそれとしてなのか,やはり私は守備が心配である。個人のテクニックの高さは理解できるが,守備のサポート意識が薄く,ポジション任せになっているところが多々みられた。これだとベスト8に残った強豪相手の場合,先制されたらアウトかも知れない。いよいよ前がかりになってさらなる失点を喫してしまうリスクが高いゆえに。若い U-20 は,ニュージーランドという明らかな格下を相手にしても,先制されると浮き足立ってガタガタっと崩れてしまうメンタルの問題も,誰の目にも明らかだった。こういうときの落ち着きと冷静な試合運びは,A代表にはまったく及ばない。
予選の 3 試合で,センターバック 2 名の組合せが先発で同じだったことが一度もない。3 番・木下,15 番・中村,17 番・高木の 3 選手が入れ替わり立ち替わり,要するに 3 C 2 の組合せのパターンで使われている。中二日という厳しい日程でも,これは守備の要が安定していないという証左である。ニュージーランド戦の 2 失点は,上がり過ぎた 17 番がボールを奪われてからのカウンターと,3 番と 17 番との連携ミスとによるものだった。いくら攻撃的な巧い選手が揃っていても守備陣の決定的なミスで失点してしまっては意味がない。ここがいちばんヤバイと思っています。
なでしこA代表のように,攻撃と守備の切替え,前線からの守備の徹底など,献身的にハードワークしてほしいものである。ボランチ猶本選手を含め,チーム全体の攻撃的姿勢が高く評価されているが,相手によって闘い方を切り換えられるかで彼女たちの本当の質が問われると思う。監督は 3 点取られたら 5 点とって勝ちゃいい,とシンプルなことを言うタイプ。それはそれで頼もしいわけだけれども,ポジションに応じたプレースタイルの意識付けこそが若い選手のためには必要なことではないだろうか。だって,5 点とっても 6 点取られちゃ意味ないではないか。得点意識ばかりじゃ,キーパー,ディフェンダーが浮かばれないではないか。私は 1-0 で勝つのが理想のサッカーだと思う。先制点を重視し,それができたら,あわよくばカウンターで追加点を狙うくらいの気持ちで,とにかく守備にテコ入れして先制点を守り切る — 若いなでしこにもそういうサッカーを見せてほしいのである。ま,点を取るのは楽しいから,それはそれでよいか!
さて,決勝トーナメント。次は韓国戦。本大会に入って調子を上げているので決して侮れません。ま,だらしのない日本男子とは違うなでしこなら,勝ってくれるでしょう。大いに期待しましょう。
U-20 ワールドカップはフジテレビが中継している。スポーツ放送は NHK で観たいのだが,今回はフジテレビのみの放映。フジテレビさまさまである。ところが,案の定,民放の色気でもって,ヤングなでしこのルックス偏重の応援余興があって,乃木坂46の可愛い女の子たちがその役目を担っていた。
オレなんかただのスケベオヤジだからか,彼女たちは皆同じようにカワイく見えてしまい,まるで(中略)の選り取り見取りの見世写真と変わりない。ところがファンは,女の子ひとりひとりのストーリーを自分のなかで作り上げ,高度な微分能力でもって差異を明解に知覚し分け,『源氏物語』について紫の上だ,いや夕顔だ,いんや六条御息所だ,というような具合に,贔屓の議論をしている。日本人は古来こういうシリーズキャラが好きなんですね。それにしても「乃木坂46」,AKBと同じ趣向で変わり映えしない。AKBが48手なら,乃木坂は約数が2と23しかない46なんて中途半端な数字ではなく,どうせなら41とか37とか素数にしてほしかったな。割り切れないくらい一体化しているってなもんや(山なし・落ちなし・意味なし)
ま,それはそれでいいんですけど,サッカー中継番組なんだから,もっとヤングなでしこのひとりひとりのプレーの特徴などについて解説してくれてもいいのではないかと,オヤジくさいボヤキをしてしまいます。