中国抗日デモ

8 月 19 日,中国の 20 以上の都市で尖閣諸島問題に関する抗日デモが発生した。香港の民間活動家の逮捕・強制送還,日本の東京都議ら 10 名の上陸と立て続けに,尖閣諸島を巡る事件が起こり,中国のネットでデモの呼びかけがなされ,それでデモが大規模化したようである。韓国のイ・ミョンバク大統領の竹島上陸,天皇陛下への不敬極まる謝罪要求なども重なり,終戦記念日近辺ということも手伝って,日本でも騒がしい事態になっている。

会社でも,中国の危険な情勢について「注意喚起」のメールが飛び交っていた。中国はいまやビジネス・パートナーとしてなくてはならぬ国であり,これしきのことでビジネスを止める止めないという議論にはならない。会社の危機管理部署は情勢を逐一追いかけ,その都度社員に情報を流し,行動指針を再徹底している。とにかく「low profile ロープロファイル」に徹しなさいというのが,こういう騒擾がらみの状況の際の現地行動指針の鉄則になっている。つまり,目立たない,控えめな態度で行動せよ。日本人が集団で行動したり,日本語を声高に話すことは避けよ。屋外で写真撮影・スケッチは止めよ。集会・デモの行われている場所には近づくな。中国の支社で雇用している中国人社員によく気を遣えというのがあって,笑ってしまった。賢明である。私の会社は「大人」である。

中国の反日デモは,政府への不満のはけ口の恰好の言訳(「愛国無罪」)になっている(麻生晴一郎著『反日,暴動,バブル — 新聞・テレビが報じない中国』を参照)。参加者それぞれがどれだけ本当に日本に対して怒りを覚えているかは定かではない。会社も,私も,ま,このようなデモはいつものことだと楽観的に受け流している。「反日」にキレて,中国人の「民度の低さ」を笑う日本人も多いのだけれど,ま,そういうのは,中国人ときちんと付き合ったことのない,「イメージ」だけで物事を判断してしまう抽象的な人たちでしかない。中国と国交断絶せよなどと騒いでいる若者は,自分の親父が多かれ少なかれ中国との商売で稼ぎ,そのおかげでAKB48の握手券付きCDを買えていることを思い知るべきである。

香港民間活動家の上陸(事件の写真を見て面白かったのが,中華人民共和国のほか台湾の国旗が掲げられていたこと)に対する日本政府の強制送還措置は,「法に則った」妥当な対応だと思う(バカ右翼が甘いと騒いでいるけれども)。何しろ,2010 年 9 月に起こった尖閣諸島海域中国漁船衝突事件とは根本的に異なり,不正入国でしかないのだから。中国政府もデモの沈静化にやっきになっている。今回の尖閣諸島問題は日中お互い様でもあり,上記の次第でそんなに騒ぐ話ではないと思う。

一方,韓国政府の失礼な振舞には今回だけは日本政府も我慢がならないようである。対抗措置をどんどんやってほしい。天皇を侮辱したイ・ミョンバクを窮地に陥れよ。通貨スワップなど止めてしまえ。私はいまの民主党政府を支持します。でも,韓国情勢は,中国のような注意喚起は社内でなされていない。韓国人の多くは冷静なようだ。同様に,日本人も竹島問題は政府に任せればよい。一人一人の韓国人とはいままでどおり普通に付き合うのが賢明だと思います。