7 月 11 日朝日新聞朝刊に「サッカー選手育てて潤う — 香川も対象 FIFA 『貢献金』」との記事が出ていた。国際移籍したサッカー選手の移籍金のうち 5% 相当を貢献金として選手を育てたクラブに分配するという FIFA の制度があるそうである。このたびマンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川選手を育成した仙台のみやぎバルセロナは,この制度のおかげで 2000 万円強を受け取ることになる。香川選手にとっても育てのクラブへの恩返しができることになる。クラブはこの分配金をグラウンドの整備などチーム強化施策に投資できるわけである。選手の育成について FIFA がよくよく考えていることに感心してしまうばかりである。
ところが,朝日新聞によれば,選手を育てた学校がこの制度を十分活用できていない。英語による申請書類の準備等が煩雑だからという。2010 年にドイツの一流チームに移籍した内田選手の母校・清水東高は,なんと,この分配金を受け取っていないそうである。清水東高の先生曰く「どうしていいのかよくわからず,申請していない。また,公立の教職員が多額の現金を管理するのは難しい」。え? 「どうしていいかわからない」? 税収が足りず子供たちの将来のための投資もままならないいまのこの時代に,育てた生徒(内田選手)が大成してくれたおかげで,海外から大金が降って来るってのに? 「教科書に書かれていないことは何もできない」というのは,こういう先生の姿を言うのである。アンタ,誰のために,何のために仕事してんの? 子供たちの未来のためでしょ?
まったくこの先生。善きことにつけ,悪しきことにつけ,事勿れ主義の見本のような人(たち)である。こういう学校側の怠慢を見つけたときにこそ PTA は大騒ぎすべきなのだ。もし分配金が自分のポケットに入るとなったらこの先生,こんなことを言ってすませるだろうか。どうしていいのかわからないなら何故わからないなりにやってみようとしないのか。多額の金の管理なんて自治体と調整し,校舎を増改築するのと同じような予算措置で,自治体に管理させればよいではないか。何を言訳しているのだ。「僕の財布に入るわけでもなし,これやって僕の給料・査定が上がるわけじゃなし,英文の申請書なんて面倒くさい」というホンネ —「無作為」を仕事の瑕疵・怠慢と認識できない,公務員根性丸出しのホンネ — が,ここには透けて見える(そうそう,大津・中学2年生自殺事件でも,学校側の態度に垣間見えるのは,まさに「無作為」という無責任ではなかろうか。「何もしない」という罪の何より恐ろしい例である)。こうして生徒の未来をもダメにしている,という図がありありと見える。