よい天気

梅雨時だというのに,雲一つない快晴の日だった。それほど暑くもなく蒸しもせず,とても気持ちよい一日だった。

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消費税率引き上げを柱とする社会保障・税一体改革関連法案が衆議院で可決しました。この危機的財政状況では致し方ないというのが私の感想である。民主党内部で造反議員が 60 人近くも出る一方で,自民党・公明党の野党と結託して法案通過を果たした,という政治構造そのものが情けないだけである。民主党も自民党も「権力党」に過ぎないノンポリシー政党に堕してしまっているとしか言いようがない。ま,民主党のマニフェストを巡る「内部抗争」は,思うに,自民党時代の派閥闘争に比べればずっと政治的で,健全ではある。

一般国民が直接痛みを伴う増税をやり遂げた — 参議院通過を残しているんだけど — 野田政権は,少なくとも実行力において自民党政権(とくに安倍,福田)よりも比べものにならないくらい遥かに上である。千年に一人とも言える愚宰相・菅さんの置き土産・福島第一原発事故の総括をきちんとしないうちに大飯原発の再稼働を決めるなんて,ホントいい度胸している(ただ無責任なだけか)。非核三原則の事実上のウヤムヤ化,武器輸出三原則の緩和,原子力基本法の改正など,自民党がやりたくてうずうずしていたことをすぱっとやってのけた。じつは凄い政権なんである。でも,いよいよ総選挙になりそうである。小沢さんの出方しだいか。僕は民主党に清き一票。

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日曜日,散歩しているとき,最近の会社のつまらなさ,心を病む若者が増えていることについて私が愚痴をこぼすと,妻がネットで「メンヘラ」という言葉をよく目にすると話した。「メンヘラ」— 家に帰ってすかさず調べたら,メンタルヘルスを害して精神医療を受けている人を指す,もっぱら2ちゃんねるで用いられる俗語のようである。昼間から2ちゃんねるや Yahoo! コメント欄に書き込みをするような「世の最低レベルの人たち」,要するに虫ケラが,メンタルを病んだ者を蔑んで呼ぶ用語らしい。鬱病等の心の病いを舐め切っている幸せな者たち。

私の周辺でメンタルクリニックに相談している者は皆,優秀であり,仕事ができる(いや,できたというべきか)。解決不能な仕事でのあまりの抑圧は,限度を越えると,ふざけるか,逃げるか,ごまかすか,開き直るか,いずれにせよ私のような,そういういい加減なことができる性格の人間でないと,やり過ごすのは難しい。私の会社は,心を病む社員が傾向として真面目かつ優秀であることをきちんと理解しているので,職場復帰のための様々な施策を行い彼を支援している。

休養から復帰した頭脳明晰の優秀な彼に,作業を与える。並の人間なら3日かかるこの仕事を彼はたった半日足らずでやってしまう。しかも完璧。ところが私のプロジェクトでトラブルが起こる。関係する要員はすべて「いつものように」徹夜で作業に取りかかる。ああでもない,こうでもない,んー,と唸っている。すると,その横で,彼の顔色が見る見る蒼白になり一言もしゃべらなくなる。いけない,早過ぎた。私は管理者として失格だと悔やむ瞬間である。

心の病いで自殺してしまう例は珍しくない。心を病むほどの悩みを会社なぞというつまらない(人生において替えの利く)世界で抱いてしまうだけではなく,それがもとで本当に自らの命を絶ってしまうんである。これは周りの仕事仲間にも大いに堪える。幸い私の直属の部下では例がないが,しょっちゅう耳にするわけで,笑い事ではないのである。「メンヘラ」?— この言葉を使う人を見たら,「世の最低レベルの人たち」と考えてよい。才能豊かで優秀な者が何の取り柄もないヘラヘラのネットのクズどもによって一括りの笑モノにされている。ローマの俚諺に「死した獅子は,兎すらこれを侮辱する」というのがある。