ヨルダン戦

ワールドカップ・アジア最終予選日本 VS ヨルダンの試合は,日本が 6-0 で圧勝した。本田選手のハットトリックはさすがでした。香川選手もラッキーな形ではあれゴールを決めてくれた。今野選手や内田選手(オマーン戦への反省が見えた!)のパフォーマンスが素晴らしく,嬉しくなってしまった。でも,気温 40 度の猛暑と,スタンドを埋め尽くす「アッラーフ・アクバル」の恐るべき異様な雰囲気とに晒される中東アウェイでならまだしも,最高のサポータに後押しされたホームで,あんなレベルの低いチームに勝ったって,当たり前である。

中東のチームは敗色濃厚の諦めムードになるとガサツなラフ・プレーをやる傾向があるので,前半途中から選手の怪我のほうが心配になって来た。果たして,長谷部選手が額を割り,吉田くんが膝を痛めた。スローリプレイで見た限りでは不吉な感じで強打している様子だったので,彼の今後が心配だ。ヨルダン選手のラフ・プレーとは無関係だっただけに,今回も吉田くんはヨルダンに因縁がついてしまった感がある。彼は次の豪州戦には出場できないらしい。センターバック,栗原選手じゃさらに不安です。代表初ゴールを上げた彼には酷い言い方だけど(あんな凄いヘディングシュートを決めたのに,圧勝のおかげであんまりフォーカスされていないのが可哀想である)。

EURO 2012 が開幕した。日本代表の試合のあと,深夜にポーランド VS ギリシアの試合を観てしまいました。ヨルダンの草サッカーを観た直後だったので,スピードとテクニックの欧州のガチンコ勝負は,やっぱ国と国とのメンツを賭けた試合というのはこうじゃなくちゃと思わせてくれた。ユーロはハイレベルの欧州だけで繰広げられるだけに,ワールドカップよりも面白いという人が多い。ワールドカップでは,アジアやオセアニアの雑魚国も仲間に入れてあげなくてはいけないので,日本や韓国のようなランキング 30-40 位くらいの国が出場枠に入る一方で,ランキング 20 位以内の欧州の真の強豪が出場できず泣きを見る。ユーロにはそういう「不公平」がない。極上の対戦が観られるのである。

日本も強くなったとは思う。でも,欧州サッカーをみせつけられると,まだまだ,まだまだ,なのだ。なのに,本田選手が活躍すると,Yahoo! ニュースのコメントでは「本田はロシアなんかにいる器じゃない」とか書き込むバカが多くてホント嗤ってしまう。こういうのを「井の中の蛙」というのである。スペイン,ドイツ,イングランド,イタリア,オランダ,フランス,ブラジル,アルゼンチンなど,サッカー番組でしばしば話題にあがる国以外はまったく目に入らない。だからロシアやチェコなどの「強豪国」を軽んずる。ここには「いまの強い日本はスペイン,ドイツ,イングランド,イタリア,オランダ,フランス,ブラジル,アルゼンチンには敵わずともその次」くらいの「強豪国の仲間」的自信過剰が透けて見えるのである。

ところが,ロシア一部リーグは,J リーグなんぞよりプレーの質の「遥かに」高いリーグなのだ。日本で報道されないから馴染みがないだけなのに,「ロシアなんかに」だって? 本田選手はロシア,欧州のインテリジェンスに加えヤクザな厳しさを備えたロシアでこそ成熟したのだ,ということが何故わからないのか。日本はいまのロシアには逆立ちしたって勝てない(2002 年には開催国の魔法で勝っちゃいましたけど)。バレーボール男子全日本は強豪国に敗れ五輪出場が厳しい状況のなかネットでむちゃくちゃ叩かれているわけだけれども,サッカー日本代表は世界のなかの位置づけとしてはバレーボール全日本よりもずっと劣るのである。

Yahoo! ニュースは新聞以外では重要な情報源なんだけど,Yahoo! コメントの馬鹿さ加減でも現代の日本を象徴しているところがよい。アジア最終予選の視聴率が 30 パーセントを越えテレビ朝日はウハウハ。ところが Yahoo! コメントでは「香取慎吾がウザい」だの「松木安太郎の解説はなってない」だの,テレビ朝日はクサされている。そういう批判コメントに支持が集まっている。なら,何故 NHK-BS で観ないのか。なんだかんだで民放の人気優先の手法にハメられている(だからテレ朝を観ているわけだ)のに,それをクサす人たちはホント滑稽である。でもこれが日本の確かな現実だと私には思われる。AKB 総選挙のフジテレビ中継を「大人げない」とクサすのなら,地方自治体の選挙が盛り上がらないのを何故問題視しないのか。そのほうがよっぽど「大人げない」のだ。NHK-BS のサッカーテーマ曲である,RADWIMPS の,あの『君と羊と青』を耳にすると,私は虫酸が走る(「ネ申」「夕匕ね」みたいな2ちゃんねる的発想に虫酸が走るのだ)。なら何故テレビ朝日でサッカーを観ないのか? 私も,大人げのなさでは,他人のことは言えません。