このお休み,銀塩カメラで撮った写真をせっせとスキャンしてデジタルデータにしていた。バカ息子も二十歳になり,少しアルバムの整理でもしようと思い立ったのだ。
うちのスキャナは CANON 製 CanoScan LiDE 90 というモデルで,四年前に購入したものである。確か,一万円しない最安値の製品を選んで決めた記憶がある。A4 原稿を 300dpi で走査でき,一般家庭で使うには充分の機能をもっている。ところがここ二年ほどエラーが出てうまくスキャンできない場合があり,何度かやっているうちに成功するので,問題を放置していた。今回の銀塩写真デジタル化作業でも頻繁にエラー(「スキャナ本体にエラーが発生しました。操作説明書に従った処理を実行してください。スキャナドライバを終了します」)が出て,その度に Photoshop やスキャナを初期化したりした。あまりに頻繁なので,きちんと対処することにした。メッセージマニュアルには,次のいずれかが原因とあった。1. スキャナが接続されていない。2. ソフトが正常にインストールされていない。3. 本体が故障している。もういちど基本に則って,接続を確認したら USB コネクタの接続が少し甘かったようである。原因は 1. ということだった。繋ぎ直しをきちんとすればエラーが出なくなった。困ったときは基本に立ち返ってマニュアルの指示に従うこと。
アルバムの写真を年 8 枚くらい選ぶ。一度にスキャン出来るのが 4 枚なのでそうたくさんはやっていられない。子供が写っているのを中心に選ぶわけであるが,その仕分け中に,これ何の写真だったかな,ああそうだ,そうだ,みたいなノリになり,ついつい懐かしさに浸ってしまう。そして,写真が見る人の記憶を引き出すよすがであることに改めて感謝する。Adobe Photoshop CS を使って,スキャンした 300dpi 画像を Web 画面などでの閲覧にも適するように 72dpi に変換し,コントラストなどの画質を調整して,年別のフォルダに jpg 形式で格納した。
アルバムを整理していると,私や妻の若かったころの写真もごそっと出て来る。妻は「おとーさん,こんな瘠せてたっけー? これ病気してた頃かしら」と大爆笑しやがる。「何か,使用前・使用後って感じね」。私はというと,あの頃は若かったなぁという感傷よりも,一緒に写っている父母や義父母のいまの老けように思い至ることのほうが多かった。
作業の途中,飯を食いにダイニングに行くと,娘が倖田來未のモノマネをしていた:「赤ちゃんできてもうたー,うちホンマどないしよー」。「子供が少ないいま,できちゃった婚でも何でも,ちゃんと生もうってんだから倖田來未えらいよな」(最近では,子供を生む女を誉めてはいけないことになっているんだけど)てなことを言うと,「いまアタシが赤ちゃんできてもうたーって言ったらどうする?」と娘。「フザきんなー」と一喝。「おめぇが小さいときの写真をいっぱいパソコンに入れたから,見てね」。そうそう,写真を整理していちばん思ったこと — ガキは大きくなればなるほどムカツクものである。