湯島天神初詣・現代書道二十人展

湯島天神に初詣。子供たちの都合が今日やっとついたので,珍しく家族皆で出かけた。御徒町・松坂屋で開催されている第 56 回現代書道二十人展も観ようということに。

湯島天神は松の内ということもあり,まだ人出で賑わっていた。いつもなら御徒町駅から春日通りを歩いて湯島の交差点すぐの夫婦坂の門から入るんだけど,参拝客が多いこの時期だからか,わざわざお茶の水方面から大きく遠回りさせられ,銅鳥居の参道を歩かされ,おまけに長蛇の列に並ばせられた。めっぽう短気な娘が帰ると言い出すのを,「ふざけんな」と押さえ付けなければならなかった。

本殿で拍手を打って願を掛けた。お神籤を引いたら小吉。このたびは幣もとりあえず手向山紅葉の錦神のまにまに。願望 — 後程必ず叶う。待人 — 遅けれど来る。失物 — 人の助けで出づる。商売 — 利益少なけれど確実にもうかる。方角 — 西北の方特によし云々。妻のお神籤も私とまったく同じもの。どうやらお神籤文面のバラエティは,数パターンしか用意していないようであった。また,お神籤の表記が歴史的仮名遣いでないのにちょっと違和感。神社本庁は歴史的仮名遣いに固執する数少ない団体だけど,当然ながら,参拝者に押し付けたりまではしないらしい。娘は大吉で大喜び。天神様は学問の神様であらせられるので,娘は「大学に行けますように」と干支の龍の絵馬に書いて奉納した。さすがに,合格祈願の絵馬が夥しかった。

湯島天神は梅の名所だけど,まだ早い。我も神のひさうやあふぐ梅の花(芭蕉)— そのころに私もここで彼蒼を仰ぎ見たいと思った。『婦系図』の舞台になった縁で,泉鏡花の筆塚があった。今日も穏やかでいい天気だった。
 

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現代書道二十人展は今年で 56 回目。時代を代表する書家の新作を新年に披露する目的で,朝日新聞主催で毎年開催されている。最近,書にも魅了されていて,朝日新聞の広告でこの現代書家の展覧会を知り,初めて訪れてみたのである。漢字,かな,篆刻のジャンルの新作が展示されていて,アヴァンギャルド書・空書はなかった。

漢詩・経文・禅語を主体とする漢字の書では,星弘道の作品 — 嚴粲という聞いたこともない宋代の詩人の詩句「敲竹鶴聲起 弄船花影搖」(竹を打ったような鶴の声,船が波に遊ばれ花影が揺れる?)による書 — が力強く印象的だった。でも,私は国風の柔らかいかな書がどちらかというと好みである。小山やす子という女流による紫式部集の巻物,横山煌平による額田王短歌「あかねさす...」書,高木厚人による源氏物語作中歌の書,などなどが気に入った。自宅に飾りたい所有欲に駆られてしまった。展覧会カタログでガマン。実物の印象がかなり損なわれてしまってはいるけれども,カタログ掲載の上記作品のデジカメ撮影画像を掲載しておきます。
 
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カタログ / 小山やす子作品 / 星弘道作品

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横山煌平作品 / 高木厚人作品