再生装置の組替

リビングに設置した再生装置のうちプリアンプが壊れた。アナログプレーヤ用のフォノアンプの右の音が出なくなってしまった。年末に大掃除をしなかったツケか。Technics 製 70A というプリアンプで,1970 年代に製造されたオンボロ。娘の部屋に設置した ONKYO Integra A-2001 という,これも 1980 年代後半の年代物のデジタル・プリメインアンプを代替機とすることにした。これは優れた MC フォノアンプも搭載している ONKYO のかつての高級機で,会社に入ったころに秋葉原の中古ショップで見つけて購入したんである。娘の言うには,iPod があれば,こんなシロモノは邪魔になるだけだからどこかにもって行って。これを機に掃除がてら再生装置の組替をした。

プリメインをリビングに移設するとパワーアンプ YAMAHA 製 B-2x が余る。娘の部屋のアナログプレーヤ TRIO(現 JVCケンウッド)製 KP-F605 Mk-II,スピーカ YAMAHA 製 NS-10M も無意味になる。仕方なく,パワーアンプとスピーカは,書斎にもって行くことにした。アナログプレーヤは,壊れた 70A プリアンプともども,処分するしかなさそうである。

昔のオーディオ・アンプはとにかく重い。B-2x も Integra A-2001 も 30kg くらいの重量がある。いまの私には,これを 1F リビングと 3F ロフト書斎との間で持ち運びするなんてとてもできない。ちょうど大学の冬休みで家にいた息子に,運搬をすべてやらせた。面倒極まりない接続作業だけは自分でやるしかなかった。

アンプを ONKYO Integra A-2001 に替えて,リビングでアナログレコードも掛けられるようになった。YAMAHA NS-1200 という木目調の美しいスピーカとの組合せ。オーケストラがよく鳴ってくれるんである。屋根裏の書斎では,YAMAHA C-2x プリアンプ,同 B-6 パワーアンプ,同 NS-1 Classic スピーカ,Technics 製 SL-01 アナログプレーヤ,DENON 製 DCD-1650AR CD プレーヤというコンポーネントを使っている。これに B-2x パワーアンプと NS-10M スピーカを追加して,気分でパワーアンプとスピーカを切替えて音楽を楽しめるようになった。

私は高校のころから懐の許す限りこだわりをもって再生装置を選んで来た。決してオーディオ・マニアというわけではないが(なんとなれば,そこまで金持ちではない),YAMAHA 製が好きであった。就職して少し金銭に余裕ができて,いまの装置を揃えることができた。結婚してからはもうこだわりがなくなってしまい,いまだに古い装置でもっぱら古楽と近現代音楽,時折クラシック,ジャズ,和洋ポップスを聴いている。壊れない限り新しいものを求めることはない。

特に YAMAHA NS-10M は,私が貯めたお小遣いで高校二年のときに買った初めてのスピーカで,もう 32 年鳴らし続けていることになるけれども,ウーファにカビが張り付いたいまも,モニタスピーカらしい締まりのある音響を昔と変わりなく再生してくれる。私の私財で最も古く,大阪,札幌,蒲田,川崎と私の住まいすべてを渡り歩き,かつ現在もバリバリに鳴ってくれる。YAMAHA NS-1 Classic は艶やかで一枚上手だけれども,一方 NS-10M も C-2x,B-6 で鳴らすとパンチがあって飽きが来ない。もうここまで来ると,長年連れ添った思い入れ以外の何ものでもない。

バッハのゴールドベルク変奏曲 BWV 988 を聴いた。ただし,ドミトリ・シトコヴェツキイ編曲による弦楽三重奏版。「グレン・グールドを偲んで」とある。ドミトリ・シトコヴェツキイのヴァイオリン,ジェラール・コセのヴィオラ,ミシャ・マイスキイのチェロによる極上のアンサンブル。アリア歌い出しの艶やかさ,懐かしさは弦楽室内楽ならでは。私はこの CD をオーディオチェック用に使っている。音のチェックに向いているというより,「あ,これこれ」のわが定番的一枚であるからに過ぎない。
 

 

20120106-audio1.png

ONKYO Integra A-2001 (上), Technics 70A

20120106-audio2.png

カビまくりの YAMAHA NS-10M スピーカ

20120106-audio3.png

YAMAHA C-2x プリアンプ (上), 同 B-2x パワーアンプ

20120106-audio4.png

屋根裏部屋にパワーアンプとスピーカを増設