問責ブーム・NHK『坂の上の雲』

今日の国会参議院予算審議会で磯崎陽輔議員が山岡消費者担当相のマルチ商法業界との関係を追及した。例の田中レイプ発言で渦中にある一川防衛相とともに,山岡消費者担当相についても,問責決議案が 9 日にも提出されるそうである。

でも,マルチ商法業界との繋がりは「犯罪」なんだろうか。そこに犯罪性があるとしたら,磯崎さん,素人のアンタじゃなく,プロの警察が捜査しその結果で検察が立件すべきかどうかを考えるのではないでしょうか。こんなの国会審議のネタなのだろうか。いろいろ攻撃の材料を集めてご苦労様です。それにしても,自民党の議員さん,ヒマなんですね。民主党の野党時代そっくり。もっと国民のためにやるべきことがあるでしょう。議員定数削減大賛成。
 

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日曜日,NHK でドラマ『坂の上の雲』を少し観た。戦史小説が映像化されると,何で安っぽい戦争賛美になってしまうのだろうか。呆れてしまった。これじゃ作家・司馬遼太郎が可哀想である。私も戦争ドラマは嫌いではないが,それはあくまで限界状況における個別具体的な人間模様についてであって,明らかに感動の焦点を「お国のために死ぬ」ことに合わせているのは,わざとらしくてならない。口に出して言うと白けてしまうことがある。私は靖國神社にお参りすることを当然と考える一人であるが,政治家や評論家の「靖國神社に参拝するのは日本人として当然だ」などという示威行為には虫酸が走るのである。

ところで,ドラマのなかでロシア皇帝ニコライ二世(けっこうニコライ二世に似ていた。メドヴェージェフ大統領にもちょっと似ているのが笑えた)の口に日本人のことを「猿」と言わせていた。これは司馬遼太郎の小説に準拠したのだろうが,たとえ日露戦争を扱ったドラマでかつ「原作に忠実」との理由があろうとも,こういう政治的判断を左右する差別的台詞をロシアの皇帝に言わしめるのは問題ではないかと思う。ニコライ二世がはっきりとそう言ったという史実はないのである。原作に忠実でも映像化した瞬間に新しい責任が生ずるのだ。「表現の自由」というのかも知れないが,これに類することを外国の戦争映画が天皇陛下の役に言わせている,なんてことを想像すると,日本人なら「この監督を誅すべし」と怒るはずである。さらに,一事が万事のバカ右翼なら「この露助野郎どもめ,お前ら皆殺しだ」とさえ思うかもしれない。つまり NHK のドラマがいかに失礼かつ軽卒なのかがわかる。皇室を尊崇するなら,他国の王室・帝室にも相当の敬意を払うべきである。NHK もいい加減である。