金正日死去その2 — あるいは,獄門にて

金総書記は公務の途中,移動列車の車上で突然死したという。自由主義国では彼は何かにつけ戯画化されて来たわけで,知人のなかには「移動列車上で? 悦組の腹の上なんじゃないの? 突然死だなんてそれ以外考えられない!」なんて口性ないことを言うのもいた。地獄に下ったキムジョンイル・ジョークがこれから量産されること間違いなし!

 さて,キム総書記は死んですぐ,閻魔大王の前に立った。
 キム将軍:「キミかね。閻魔大王というのは。ん? ここから途が二手に分かれているな。一つは強盛大国聖地ペクトサン,もう一つは極楽浄土に繋がっているのかな? ワタシはもう神になったので,この際,極楽浄土に行くのが相応しい。どっちだ? 言え! ところで,あの二人は誰だい?」
 閻魔大王:「その通り,察しがいいね。一つは地獄への,もう一つは天国への途だ。そして,あの二人は左に立っているのが同志スターリン,右は聖ヨハネだ。二人のうち一方は必ず嘘を吐く。もう他方は必ず真実をお前に伝えてくれる。彼らは途がどちらに通じているかを知っている。どちらに行けばよいか彼らに聞くがよい。ただし,質問はイエスかノーかで答えられるものを,二人のうちのどちらかに1回限りだ。そして,二人のうちどちらが嘘吐きかは国家機密だ。わかるよな。さあ,行け」

姿からスターリン,聖ヨハネはすぐ見分けが付いた。まさか自分が瀬戸際に立たされるとは思ってもみなかった将軍様は,ビール腹を叩きながら思案した。これまで頭ではなく腹で考えて来たのだ。さてさて,その後キムさんはどうしたでしょうか?

これ,『ケネディの問題』という有名な論理学ジョーク問題を,私が焼き直したものである。元々は,死んだ J. F. ケネディが天国に行くためにヒトラーとチャーチルのどちらにどういう質問をするか悩む話である。野崎昭弘著『詭弁論理学』(中公文庫,1976 年)に掲載されていた。回答はそのへんに転がっているだろうから,ここではしるしません。