今年の漢字は「絆」・Yahoo! バカコメント

帰宅して Yahoo! スポーツ報知配信ニュースを見たら『今年の漢字』が「絆」に決定したそうである。「激」か「絆」かと,先日思いを巡らせたが,やはり「絆」であった。

このニュースについた Yahoo! コメントをみるといつものとおり面白い。曰く「嘘くさい」,「今の日本は民主・経団連はじめ売国奴ばかりだ!」,「美談に変えたいのか」云々。「絆」の決定に対して否定的な人ばかりである。ま,この人たちは世の中にコミットできないヒマ人・スネ齧りであろう。俺たちが通勤電車のなかでもみくちゃになっている,もしくは顧客の理不尽な要求にひとつひとつ丁寧に申し開きをさせられている時間帯に,揃いも揃ってこのようなバカコメントを悠々とタイプしていやがる。学生か,無職者か,さもなければ孤独な年寄りってわけだ。被災地の人たちがどれだけ日本全国あるいは世界中の人たちの「絆」を必要としているのかを考えないではおれなかった今年の差し迫った状況とは,まったく無縁の人たち。他人の不幸は対岸のなんとやらでしかないらしい。TPP についても産業保護をどうすべきかを考えるよりも前に,外国人が入って来るのが許せないという chauvinism が先に立つシアワセ者である(TPP 関連ニュースに付いたバカコメントを見るがよい)。お前達こそ皇国日本に相応しくない輩だ。

Yahoo! コメント欄は,コメント上位がいつもこんなバカどもの書き込みに占有されていて,Yahoo! のゴミ溜めになっている(マトモなのが読めそうなのが,唯一スポーツ欄だけなのだ)。2ちゃんねるともども潰してしまったほうが日本国の国益や皇国の品格維持に適うと私は思っているけれども,ま,バカの形振りを見るのは最上の娯楽でもある。そしてもうひとつ。狂言などではバカ役・太郎冠者の登場の仕方が決っている。ここで登場したからにはバカ役だということがわかるように仕立てられている。ま,シャーロック・ホームズに対するワトソン君みたいなものである。Yahoo! コメント欄はまさにこれと同じバカのトポスである。ゆえに,世の中の事象でどう向き合うのが適切なのか迷ったとき,Yahoo! コメントを見て,その逆の方向を模索すればよいと知れるんである。

古人曰く「バカは死ななきゃ治らない」。
 

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妻が角川書店から出ている俳句と短歌の年鑑を買って来た。今年彼女が編集を担当した句集,歌集が「今年の 10 冊」みたいな特集で採用されたらしい。角川書店は俳句・短歌関係ではいま日本でいちばん権威のある出版社である。でも,私なんかは,名が轟いていなくても実のある本を少しずつでも出し続ける小さな出版社が好きである。