ソフトバンク・ホークスがいましがたパ・リーグ CS ファイナル・ステージを制覇したところ。いや,痺れる試合でした。TOKYO-MX で観ていたんである。西武 1 点リードの延長 10 回裏,ツーアウト・ランナー二塁,長谷川選手がきわどい 5 球目を選んだあと右中間のツーベース・ヒットを放って,ソフトバンクは土壇場で同点に追い付いた。長谷川選手は 2,3 球目をヘボなスイングで空振りしていたので,こりゃアカンわと思わせたが,あの 5 球目のボールを見極めたところで,私は唸らさせられた。こいつ,新井くんの半分以下の年俸なのに,新井くんより肚が坐っている。好投していた涌井投手が不憫だった。一球の失投で投手が悔しさに泣き崩れてしまうこのドラマは,阪神タイガースの選手に見せてやりたかった。12 回表が終わり,この時点でソフトバンクの優勝は確定していたのに,12 回裏をプレーするのが不思議でならなかったんだけど,西武・ルーキー牧田投手は無失点で終わらせようと最後の意地を見せていた。これも隠れた見所のひとつだったと思う。今日のヒーローはもちろん同点打,サヨナラ打を放った長谷川選手なんだろうけど,10 回表に先制されたあとの絶体絶命のピンチに追加点を許さなかったリリーフ森福投手こそが賞讃に値すると私は思う。投手戦というのはホント痺れる。
ソフトバンクの孫オーナーも胴上げされていた。こういう光景がソフトバンクの社員を奮い立たせるんだと羨ましくなった。ホークスはソフトバンクという IT 系成長企業に買収されて,むちゃくちゃ強くなった。ところで,横浜ベイスターズも先日,IT 系企業 DeNA による買収が決定した。このベイスターズ買収劇では,楽天が「DeNA は実質的出会い系企業でありその参入は球界の品位を落とす」などとお笑い草を述べ立てて強硬に反対したらしい。じつはこれ,ただただ,弱いなりにも神奈川県民に愛されている首都圏セ・リーグ球団を同業他社(IT 企業という意味で)に持って行かれた「やっかみ」に違いない。新顔の楽天が紳士クラブでなに威張っていやがるのか。横浜ベイスターズは,現戦力でも得点力には優れた球団で,投手力向上と選手のメンタル管理(なにせ「負け馴れ」している集団だから執念がない)とを果たせば,充分に優勝を狙える。この点が楽天ゴールデン・イーグルス(ついゴールデン・ボールズと言ってしまうのだが)との大きな違いである。
モバゲーで稼いでいる IT 企業 DeNA は,現横浜オーナー TBS のような斜陽企業とは異なる。テレビの視聴率が年々低下する上に年寄りが多くなって,テレビ業界は先行きに明るさがない。若者は,わざとらしさ満載の通販,おばさまたちのための韓流ドラマ(工場海外移転による産業空洞化ならぬ,テレビ業界の経費節減のためのコンテンツ空洞化の象徴的現象。自分で優れたドラマを作るより,韓国から輸入したほうが安くあがりかつ視聴率が取れるんである。チャン・グンソクに勝てない高岡蒼甫が吼えるのも宜なるかな。それでフジテレビが「売国奴」ってか? ん? 「伝統番組」? ガキみたいな負け惜しみ。ワロタ),芸能ならぬ低能バラエティ,脚色どぎついニュースばかりの,面白くないテレビ番組に心底飽き飽きして,スマホのモバゲーやインターネット動画・言論ブログサイトに集まっている。横浜買収はまさにこの構造の象徴である。DeNA は,球団オーナー紳士クラブに入りたいだけだった TBS と違い,元気な成長企業として,ベイスターズが勝つことに拘るはずである。ソフトバンクのように戦力拡充の投資をするはずである。ベイスターズは来年は難しいとしても数年で優勝争いをするくらい強いチームになる,と私は確信している。あれ,ソフトバンク優勝はどこへ行った?