W 杯予選・北朝鮮・平壌での試合

11 月 15 日に予定されているサッカー・ワールド杯アジア予選,アウェイの北朝鮮戦は,日本のサポーターも現地観戦できることになった。中川正春文部科学相が会見で「応援にかけつけて」と述べた。これまで北朝鮮への渡航は,ミサイル問題の制裁として,外務省から自粛するよう要請が出ていた。このワールド杯予選で政府が積極的に制限緩和に動いた。政府要人が公的な場所でわざわざこれを話題にしたことで,北朝鮮政府も相当にリキを入れてこの試合の運営に当たることになるだろう。サポーターだけでなく日本のメディアも許可されたらしい。バカ・ネット「右翼」どもが「拉致されるぞ」なんてホザいているけれども,六カ国協議を一刻も早くやりたい北朝鮮の目下の思惑からすれば,日本のサポーターはむしろ歓迎されるだろうと私は期待する。「喜び組」が出て来てくれないものでしょうか! ま,スポーツ・イベントであるし,キムさんの顔は忘れましょう。

こういうところからも,サッカーの国際試合の凄さというものを,ひしひしと感じさせられる。ナゾに包まれた北朝鮮・平壌に行けるなんて。こんな機会はまずない。北朝鮮で日本代表がプレーするのは 26 年ぶりというから凄い。2006 年ワールド杯予選では,イラン VS 北朝鮮戦での観客の暴動に端を発して,北朝鮮での予選開催が流れてしまった経緯があった。1985 年の北朝鮮アウェイでの日本代表は,10 万の北朝鮮人民の大観衆にドギモを抜かれながらも引き分けたそうである。今回の 11.15 も — スタジアムは 5 万人収容の国立競技場クラスのようだけど — アリラン,マスゲームのような「均一なる人,人,人」で日本代表は寒気を覚えるに違いない。こういう雰囲気のなかで,日本代表がフェアかつ高度なプレーを披露し,北朝鮮国民の目の前でアジア王者の実力を見せつけ,勝つ。これを期待したい。サムライブルーのメンタルが試されるときでもある。

うわー,わくわくして来ました。サッカーのアジア予選は,各国のお国柄が多種多様でホント面白い。11 月 15 日が楽しみである。その前にタジキスタン戦もある。このわくわく感に比べりゃ,プロ野球の CS ときたら...
 

P.S.

産經新聞が電子版で,「北朝鮮渡航についてかかる特例を認めたら,制裁がなし崩しにならないか」などど,ホントXXな記事を書いていた。これは日本代表がサポーターともども合法的に「闘い」に行くのであって,物見遊山ではないのである(?)。そもそも,原則に準拠するも状況に応じて立ち足を変えつつ行動を決することこそ政治のあり方。そこで「こう決まっているのに」などと一般論にしがみついた,こんなハナクソ記事を書いているから,産經を読む気がしないんです。
 

11.7 付記

その後の報道によれば,この試合での日本のサポーターは鳴りものダメ,日の丸の国旗ダメ,横断幕ダメのダメダメづくしの禁制に縛られるらしい。しかも認められたのはたったの 150 人。5 万人のうちのたった 150 人。北朝鮮め,ふざけていやがる。

でも 150 人もいれば,甲子園 PL 学園応援団の人文字みたいなことはできそうだ。ツアー参加サポーター皆でツルんで,白と赤の T シャツを上着の下に隠しておいて,試合が始まったら人文字で日の丸を描いて応援する,なんてことをやってほしいものである。着る服の色まで制限されてはいないんじゃないかな。
 

11.14 付記

上で,平壌で日本が北朝鮮代表と試合をするのは 26 年ぶりなどと書いたが,これは私の勘違い。確かに 1985 年に試合があったが,その後,1989 年にもイタリア W 杯予選で日本 VS 北朝鮮戦が行われたので,今回は 22 年ぶりということになる。いずれにせよ「元」悪の枢軸国家での,めったに拝めない試合。五万人の観客から「殺せ!」だとかガサツな大合唱があっても,コテンパンにやっつけてくれ!(1989 年の試合ではそんな大合唱があって試合会場は殺気だっていたそうである。でも,もしこんな朝鮮語の大合唱があっても日本選手には通じず,逆にチョン・テセのようなまともなスポーツマンシップをもった北朝鮮選手のやる気を殺ぐのではないかと私には思われる)