頭が熱い

また暑い夏が復活。夜,猫の額(我が家の庭のこと)の草花に水をやるのが最近の習慣になっている。水を撒くと涼気が漂う。蚊に喰われパンパン手足を叩きながら,煙草を吸い,涼むんである。
 

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中国高速鉄道の事故で大騒ぎである。客車の残骸のなかにはまだ遺体が隠れているかも知れないのに,客車ごと土に埋めたというではないか。こんなダイナミックな埋葬は見たことがない。なんと人命の安い国か。原因調査もほとんどせずに運行を再開したというではないか。中国政府のいつもの隠蔽体質に,ここまで「おおっぴらに隠せ」るものかと感心させられる体質に,びっくり。中国出張に行ったとしてもこの中国版新幹線に乗るのは絶対にやめましょう。これがこの事故から得られる教訓のすべてである。

この事件は中国の「技術」に対する考え方を端的に表している。速い超特急が国力を世界に示す,よって高速であればよい — そういう単細胞的技術観を何にも増して露呈した。そう私には思われた。超特急は列車そのものの「高速」ということ以前に,システムが「安全」でなければならない。また,数分に一本という超過密な運行計画にあっても混乱するこのとない運行管理という周縁技術が確立されていなければならない。万一事故が発生した場合は,原因を徹底的に究明し,今後の改善に活かされなければならない。どうも,中国高速鉄道では「速さ」以外のこうした技術・運用設計に関して相当手を抜いたようである。

この点で,中国製のハイテク製品はダメだね。いま空母を作ってるっていうけど,大丈夫? 日立から新幹線システムを導入した英国は,こういうところをよくわかっていたわけだ。私は中国人が大好きですが,この件については譲れません。
 

付記:

そうはいっても,福島原発事故とその影響に対する日本政府による隠蔽ぶりを考えると,中国政府とどちらが悪の度合いが凄まじいか,わかったものではない。牛肉,野菜などへの放射線汚染は福島県に留まらないいまのこの状況は,今後さらなる悪化を引き起こしそうである。気がついたら最悪の事態になっていて,それが既成事実化して皆開き直る,なんてことは勘弁してほしい。なのに政局はポスト菅一色。マスコミも相当この問題放置・ゴマカシに加担していると思わずにはおれない。日本のマスメディアはもはや信頼できない。海外の反応をよくウォッチしたほうがよさそうである。
 

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大韓航空機が 6 月 16 日に竹島上空でデモ飛行を行ったことを受け,外務省は抗議の意味で公務での大韓航空機利用自粛を決めた。竹島問題では一歩も譲ってはいけません。私は韓国人が大好きですが,この件については譲れません。外務省さん,もっと過激におやりなさい。

関係ありませんが,このニュースをネットで見ているとき,フジテレビが韓流ドラマ,韓流ポップス(K-POP って言うんだよ!)を垂れ流しているのに対し,Yahoo! コメンターがいつものとおり「売国奴」呼ばわりしていた。私には実感がなかったのだけれど,新聞のテレビ欄で確認すると確かに「垂れ流して」いるようである。でも,これは視聴者の好みの反映なのであって,なんで「日本人は日本人による番組を流し,そして見るべきだ,この売国奴め!」という論理になるのかサッパリわかりません。ひとりのバカな日本人とひとりの賢い韓国人が目の前にいたとして,やっぱり俺は「賢い」方を褒めて上げたいと思う。それのどこが「売国奴」なんだ? 韓流の魅力(というか「人気」)の秘密がどこにあり,和製ドラマがなぜに韓流に対して魅力がないのかを考えるべきではないか? 私はというと,韓流の魅力がどこにあるのか,サッパリわかりませんが(「今の」韓国の映画は結構面白いですよ。黒澤明などの「昔の」日本映画には敵いませんけど)。同様に,和製ドラマも,J-POP も,AKB も,どこがよいのかサッパリわかりません。
 

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俳優の原田芳雄が亡くなった。『ツィゴイネルワイゼン』,『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』などの ATG 映画。私はニヒリスティックな役回りの嵌るこの俳優が好きだった。『ツィゴイネルワイゼン』で原田芳雄演ずる中砂にこんな台詞があった:「俺が死んだら俺の骨を君にあげるよ,そのかわり君が先に死んだら君のを俺が戴く」。骨を戴きたいものである。彼を回顧し,彼のご冥福を祈って,サラサーテを聴くとしよう。