レベル7

宮部みゆきの小説にもありましたね,レベル7。あのチェルノーブイリと同レベルなんだそうである。原発事故そのもので一般市民に死者が出たとは聞かないが,福島県民は「計画的避難」というわけのわからない行政措置に振り回されはじめているし,県内の相当エリアは今後どれくらいの期間かは「立入禁止」区域となるはずで,県民にとってはレベル云々の問題ではなく,「ほとんど壊滅」の悔しさだろう。放射能の許容限度引き上げもなされた。いったいこれまでの基準とはなんだったのか。そうすると引き上げられた基準もどういう数値なのか皆目わからない。どこまで人をバカにしてんの? そろそろ「政府はいったい何やってんの?」と愚痴も出て来ようというものである。頑張ってくれてんのはわかるけどね,かいた汗で労ってもらえるのは学生と社会人一年目くらいまでじゃないでしょうか。

東電社長が福島入りして非難囂々の様子をテレビで見た。当ったり前田アツコじゃ。福島第一原発事故の補償で東電はつぶれるかも知れない。電気料金が値上げになるんじゃないかとの噂もある。いずれにせよ,なんだかんだ言ってもツケは国民に回って来る。

統一地方選挙は予想通り民主党が惨敗した。菅党首,岡田幹事長は,この非常事態にもかかわらず,党内で引責辞任を迫られている。当ったりまえじゃ。菅総理は被災地の視察しかせず,官房長官は「安全」をしか口にせず,その間にいつの間にやらレベル7で「計画的避難」。日本製品を巡って海外でもパニック状態が起きる始末。選挙で負け続けて国民の信任が底を突いているのになおもこの人たちは居座ろうとしているようである。佐藤優がラジオで「菅総理ってのはヘタクソなのにマイクを放さないカラオケオヤジと同じ」と言っていた。でもこれは喜劇ではない。

震災直後はとにかく被災地救助の至上命題のもとに批判を控えるべきとの雰囲気がないことはなかったけれども,やっぱり「不作為」体質が — 国民の眼から見て震災対応は,東電の現場の人々,自衛隊員,消防隊員,救急隊員,海外からの支援部隊しか印象にないはずだ — 国内にも海外にも不信感を植え付けてしまったわけで,選挙で国民の怒りが噴出したと見るべきである。

これから日本は経済的に奈落に落ちて行くかも知れない。これからこそが正念場。「がんばろう日本」— そうなんだけど,食うにも困るようになる危機を,被災しなかった人もそろそろ本気で考えなくちゃいけないかも知れない。政府の尻馬にのっていると,「死ぬ迄闘うぞ,絶対に勝つ,と息巻いていたのに,結果国民は空襲で家を失い家族を失い路頭に迷い,あっけなく敗戦,気付いたら最悪の事態。なんだったんだあの気合いは?」みたいなかつての状況になるかも知れない。あの戦争でも政府は気合いだけでなんの現実的判断もできなかった。天皇陛下のツルの一声による終戦。このクライシスにおいても,相手が米国でなく天災であるだけで事情はまったく同じじゃなかろうか。でも日本は,— あの不幸な戦争時代と同じで — 国の指導者がいかに愚かで無責任でも,民間が恐るべき智慧と勇気をもっている。必ず立て直す。

AC 広告でがぜん有名になった金子みすゞの詩のパロディで,最近こういうのがあるらしい —「『安全?』っていうと『安全』って答える。こだまでしょうか。いいえ昔から」。