非常事態その3

会社から帰宅し,テレビのニュースを観た。菅総理が国民に向けて「この戦後最大の危機を乗り切ろう」と訴えていた。それに対しマスコミは,このところの原発に絡む一連の不安増大と,尖閣諸島問題・自衛隊暴力装置発言で非難囂々だったあの仙谷さんの危機対策再起用とを受けて,政府の対応への不信感を露にし菅総理の見通しの甘さを攻めたてていた。ネットニュースで読んだところによれば,小池自民党議員も,なんで「あの」仙谷さんをこの危機的状況で担ぎ上げるのかと,憤懣やるかたないようである。

じゃあお前たちがやったらもっとうまくできるとでも言うのだろうか。なんでこの危機的事態に政府をサポートしようとしないのか。ここももっと優先度を上げないといけないのではないか,この観点はどういう検討を経たのか,放水以外にもこういう手段がXXの例であったという情報がある,というような前向きな発言がなぜ出ないのだろうか。私も障害対策で,実質なにもしなくてよい立場にいてスマートな論理で担当者を攻めることしかしないスタッフ(口だけで手を動かさない連中)にいつも困らせられて来たので,よくわかるのである。口を動かす前に手を動かせ,足を動かせ,というのである。私は菅総理は嫌いなんだけど,一国の総理として誰が見ても命を賭けてこの危機を乗り切ろうという意思が伝わって来る。だから,ここはとにかく菅直人を支持したい。仙谷さん再登用も支持する。

非生産的岡目八目に始終しているこいつらマスコミ,愚鈍政治家に呆れてしまったのである。防衛事務次官に軽んぜられて口喧嘩以外何もしなかった小池百合子元大臣より(おまけになんと守屋事務次官はその後ブタ箱行きである),少なくとも仙谷さんのほうが肚が座っている。「自衛隊員は国民のために命を賭けて原発に突撃せよ!」くらい言いそうなのは小池百合子なんかよりむしろ仙谷さんだと私は思う。そうでなきゃ,非難されることを百も承知であんなとぼけた尖閣諸島始末なんてできやしない。いま必要なのは針の筵に座らさせられてもやるべきと結論したことを行動に移しやり抜く胆力ではないだろうか。
 

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スーパーでカップ麺や食パンなどがどうも「買い占め」られて手に入らないと妻がこぼしていた。私は,いやそれはスーパーが被災地への流通を優先させているだけじゃないの,と思っていた。でも,政府は不必要な危機感で買い占めをするなとアナウンスしているし,蓮舫さんも「買い占め」の実情視察をしたというので,どうも本当に「買い占め」に走る人がにわかに現われたようである。

近所のスーパーで店員が「パンはお一人様一点とさせていただいております」と毅然と言い放って客のカゴから商品を取り上げていた,という話を娘がした。普通なら,いくら上からの通達だからといっても客を目の前にして「売らない」行動に走るのには,現場の店員によほどの気持ちの整理が必要である。被災地の人々が厳しい物難にさらされている一方で,被害を免れた人が余計な物欲に走ることに対し,いま,世の中の多くの人が義憤を覚えているのだと痛感した。マスコミがどれだけバカでも,口だけの政治家がどれだけ蔓延ろうと,こういう普通の人々がきちんと行動を起こしている。だから日本という国は捨てたもんじゃねぇと心強くなるんである。