大手町,寄り道

午前中,とある顧客と会議があった。東京駅日本橋口すぐそばの日本ビルヂング。名前からして古いビジネスビルで,昔の丸ビルのように,高層ではないが広大な敷地を占有している。

会議のテーマはシステムの法改正対応について。省庁の公報に掲載されているが,現在の「不作為」菅内閣のあの体たらくのおかげで法審議がまったく進んでいないある案件について(「不作為」だけなら役人が政治家を鼻で嗤いながら頑張るんだろうけど,この内部抗争で法律を成立させる本来の仕事がガタガタなんである)。「どうも今年度成立は無理そうだ」—「時期を決められないので困りましたね」というような議論になった。同じような悩みに入っている企業は多いはずである。DB にある国コード・コンスタントについても,「中東のいまの状況じゃまた新しいコードが出て来る可能性大ですね」のようなホットな話題が出た。流動的な状況について,とりあえず顧客と方針だけは立てることができた。

打合せが終わって,この暖かい陽気にすぐ帰社する気にもなれず,飯を食ったあと丸の内 OAZO の丸善に寄り道した。サラリーマン風景としてよくニュースの背景映像で用いられる東京駅丸の内北口も,この暖かいお午時,なんとものどかであった。この本屋は開店当初から気にはなっていたんだけど,東京駅で立ち寄る本屋は八重洲ブックセンターと決まっていたこともあり,じつは今回はじめて覗いてみたんである。なかなかの品揃え。音楽関係のコーナーで『バッハの暗号』なる本を見つけ少し立ち読みし,次にコンピュータ関係の書架の間を歩いた。奥村先生の『改訂第 5 版 美文書作成入門』のできたてのほやほやの第二刷が並んでいて,おおさすがだと思った(川崎の丸善ではまだ第一刷が並んでいたから)。第一刷にあった誤植がきちんと訂正されていた。

本屋で一時間も時間を潰してしまった。勤務時間中の寄り道としてはさすがに自責の念に駆られた。通勤定期の経路上,もっとも安上がりの山手線・新橋経由で帰社。新橋駅ホームで,お茶を手に会社に急ぐガッキーの広告ポスターに目が止まった。もう春ですねぇ,とガッキーにご挨拶。いかん,急がなくっちゃ!
 

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帰宅してニュースを見たら,ニュージーランドの不幸な地震災害の報道は当然としても,どこもかしこも小向美奈子・覚醒剤取締法違反のネタ。ついこの間までは海老蔵のケンカ,その前は朝青龍のケンカ,またその前はノリピー,押尾学裁判。この国の報道は狂っている。昔は芸能人のクスリや賭博ネタは下劣週刊誌の領域だったのである。新聞記者は,危ない職業人たちの淫靡な「話題」と,国民に知らしめるべき事実とをきちんと峻別していたはずだ。それがいまやボーダレスになっている。こんな見識のない週刊アサヒ化した大マスコミは,そのうちインターネットの真のボーダレスによって取って代わられればよい。

先日,スポルト見たさでフジテレビを点けたら,滝クリのいなくなったニュース・ジャパンが放映中。菅内閣と民主党の混乱についてフジの解説委員が「いまの政治家はレベルが落ちた」と嘆じていた。「何言ってるんだ,小沢問題を焚き付けているのはいったい誰なんだ? 政治のくだらない側面ばかりを伝えるお前たちマスコミの質が地に落ちたことが,この政治レベル低下の元凶じゃねえか」と,唾を吐きかけたくなってしまった。