AFC Asian Cup, Qatar 2011 その 5

日本が韓国に勝ちました。予想に違わず,両チームとも死力を尽くして闘った。予想に違わず,韓国のパワーと日本のエレガンスの勝負になった。そしてエレガンスが勝利した。審判が愚劣だったとか,韓国選手が日本人を愚弄したとか,バカ者どもが騒いでいるけれども,そんなことはどうでもよい。延長の最後の最後で同点に追い付かれながらも,心を立て直して PK で勝利した日本チーム。スカッと勝つよりよっぽどドラマチックだった。彼らの気力・スポーツマンシップは賞讃に値する。

PK では W 杯,前回アジア杯で苦い思いをしただけに,感激してしまった。本田が延長戦で PK を外しながら,PK 戦で敢えて自ら切り込み隊長を買って出たこと。キャプテンマークを引き継いだ遠藤が,コイントスで PK 戦の先攻をとったこと。2 発止めた川島の神業ゆえの大勝利なのだが,こういう人間精神の姿に涙が出るくらい感動したのである。だから PK 戦がはじまり本田がボールの前に立った時点で私は,この前を見つめる若者たちの姿に惚れ惚れし,くらくらした。

聞く所によれば,日本は韓国に 2005 年以降勝利していなかったらしい。韓国選手から軽んじられてもしようがないと思っていたが,今回の試合では相手を崩して得点しただけに,サッカーの内容では日本の方が上だった。あと少しのところでセットプレーからああいう失点をしてしまうのは大きな課題なのだろうけれども,気力でも念力でもと死に物狂いの韓国がゴール前の混雑状態で運良く得点できただけだと私は思った。あの凄まじい精神力こそが韓国の強さなのである。

決勝戦は,これまたうれしいことにオーストラリア戦となった。日本 VS 韓国戦のあと,オーストラリア VS ウズベキスタン戦を前半だけ観たんだけど,オーストラリアは余裕しゃくしゃく,ウズベクを子供のようにひねり倒していた。日本 VS サウジ戦よりもつまらない試合だった。まったくパワープレイ頼み。日本は前回アジア杯でオーストラリアに PK 戦で辛勝している。今回はスピードで掻き回して 90 分で勝負をつけ,オーストラリアを叩き潰してほしいと願っている。日本は今大会はじめて決勝トーナメントで韓国,オーストラリアと真っ向勝負をしてカップを賭けるわけで,その意味では両国と対戦しなかった 2004 年,2007 年とは違う本当のアジアの頂点を試されることになる。そこが見物なんである。29 日が楽しみじゃ。
 

※ 1.29 付記

香川選手がなんと韓国戦で骨折しチームを離脱した。残念。でも日本代表はチームとしての自信を深めているので,ここは諦めるしかない。

ということは,後半から彼がほとんど機能できなかった状態で韓国に勝利したということである。これも意味のある姿ではないだろうか。そして,もしあの試合の途中で香川がケガゆえに交代しなければならないということであったならば,チームに動揺が走りあのような精神力の持続ができたかどうか。いま考えると香川選手という弱冠 21 歳の若者の頼もしいポーカーフェイスぶりに驚かされる。早く恢復しドイツでまた活躍してほしいものである。