ロンドン在住のロシアの作曲家 D. Smirnov が Wikilivres に松尾芭蕉俳句のロシア語訳のサイトを開設した: Хайку Басё - Wikilivres。彼は 2003 年に芭蕉俳句に基づく室内歌曲集 «Грёзы скитаний» Op. 140 (『夢は枯れのを』) を作曲したあたりから,日本語を勉強し自力で原典から芭蕉に取り組むようになったようである。
さしあたり寛文時代の初期の句が公開されているけれども,目次をみると彼が全句制覇を目論んでいることが知れる。芭蕉作品のロシア語訳は Вера Маркова によるものが有名だが,全句をカバーするものはこれまで出ていないはずである。
じつはこのプロジェクトで私は,日本語の解釈について確認したり,日本の文献の情報で注釈を記したり,補足的なお手伝いをしている。いちおう共同プロジェクトということになっている。私は日本人研究者の成果を横流ししているだけなので,何か主体的な意見を表明しているわけではさらさらないのだけれど,Smirnov はサイトの序文のなかで私のことを持ち上げてくれている。
ということは,私も芭蕉全句について,これから少しずつ研究しつつ,ロシア語で注釈をしなければならないということになるわけである。私の書いた恥ずかしい,ひでぇロシア語を,本サイトに掲載する段階で D. Smirnov がきちんとしたロシア語に訂正してくれているのは論を俟たない。私も,ロシア語の勉強も兼ねて,芭蕉理解を深めたいと思っている。
興味のある方はぜひご覧ください: Хайку Басё - Wikilivres。