昨日の夜,『なでしこジャパン,アジア大会で初優勝』というニュースにカンゲキしていたら,今日夕方,さきほど,『北が砲撃,韓国兵士2人死亡』なるニュースが飛び込んで来て,いよいよヤバい事態になったとユウウツになった。韓国軍と北朝鮮軍が砲撃し合い,韓国軍兵士2名だけでなく,かなりの犠牲が出たらしい。
金正日の若き後継者がお披露目されて,北朝鮮では大きな政争が起きているのかも知れない。私なんかは想像するしかないのだけど。内憂を外患にスリ替えるのは政治の常套手段であって,北朝鮮国内は切羽詰まったところに来ているのかも知れない。韓国軍艦撃沈事件もまだ記憶に新しいところで,北に優しい韓国国民といえどもこれでいよいよ熱くなるのも必至である。冷静に,冷静に,と願わずにはおれない。朝鮮戦争が仮に再開されたら米国,中国がくちばしを挟むことは当然なのだから,日本も巻き添えを喰らう。勘弁してくれ。ま,そうはいっても,北と南のトムとジェリーぶりはいつものことであって,韓国人も北朝鮮人もこういう事案に馴れない日本人ほどヤワじゃないので,私は本心で心配しているわけじゃないんだけれど。李明博大統領は「追加挑発時には断固対応する」と声明を出した。これは「おめぇが仕掛けない限りこちらからは軍事行動を起こさない」という,弱気とはとられずかつ極めて冷静な,きちんとしたメッセージになっている。さすがである。
柳田さんが遅まきながら辞任したけど,朝鮮半島の事件に比べたら,吹けば飛ぶくらいのハナクソのような話題である。昨日の朝日新聞夕刊一面にデカデカと載った記事によれば,「個別事案への回答は差し控える」,「法と証拠に基づき適切にやっている」,この二つの答弁テクニックでもってラクに国会を乗り切っているとでもいうような発言のおかげで,「国会軽視」のモーレツな批判を浴び,柳田法相がとうとう辞任に追い込まれた。ブスの前でブスと言ったらそりゃ人格を疑われて怒られるわいな。どうしようもない脇の甘さ。バカ正直。失言で大臣をクビになるなんて,自民党政権末期と似て来たとも言える。次に前原くんあたりが泥酔会見をやってくれると,ホント楽しいんだけど。
でも,それくらいのことで,世の中みんながなんでこんなに大騒ぎするんだろうか。こんなのは下劣な週刊誌だけで盛り上がればよい事件なのだ。一方で,「尖閣諸島は領土問題」などと基本的国家認識(日本領土・領海認識)における閣内不一致を露呈した失言をなした閣僚・蓮舫さんは,辞めろとまでは騒がれなかった。むしろ,ファッション雑誌に写真を撮らせたという,どうでもよいことのほうが問題視された。なんか政治的「常識」というものがマヒしていないか。お茶の間にわかり易いストーリーで政治的現実が脚色・歪曲されていないか。マスコミ全体が週刊アサヒ化していないか。こんなことじゃ,朝鮮半島の事件のような本当に震撼すべき事案にぶちあたったら,日本国民はそれこそキンタマが縮み上がって思考停止状態で固まってしまうんじゃなかろうか。
※ 11.27 付記
法相をクビにしても何も国会運営が好転しないのは,誰の目にも明らかなのに菅さん,いったい何を考えているんでしょうか。この場合もどうして「好転期待の様子見」をしなかったのでしょうかね。どうしてあんなにヘボな野党に屈するんでしょうかね。昨夜,仙谷さん(馬淵さんというオマケ付だけど)の問責決議案が参議院で可決され,自民党は審議拒否も辞さないといよいよ強気になって来た。腹黒くしたたかな小沢さんを外すからこういうことになるのがまだわからないようである。電撃辞任も間近か。その前に解散総選挙をしてほしいと思うんだけど,「何もしない」菅政権じゃ無理か。年明けの次期通常国会のころには前原総理大臣になっている,に一票。
菅首相は支持率 1% でも続投すると話したそうである(このニュースの Yahoo! コメントに「民主主義の意味を知っているのか」という批判があったが,この発言者そのものが民主主義をわかっていない。政策を決定する者が選挙で選ばれたかどうかが民主主義の基本であって,基準の明らかでない支持率なんぞ 0 でも民主主義に反しない)。そこまでハラを括っているのであればもっとどぎついことをやってもらいたいものである。
※ 11.30 付記
北朝鮮は拉致問題,核開発に関してわが国の敵である。だから私はこの国の政府を好かないのだけれど,報道を見ていると当然ながら中立的とはいえないのも少し頭に来る。
今回,北朝鮮が「先制攻撃の暴挙」に出たことになっている。けれども,このとき南北国境海域で米韓が軍事演習をしていたわけで,北朝鮮の捉え方からすれば軍事的に対処すべき「挑発」だったとも言える。
韓国軍兵士 2 名のほか民間人にも多大なる被害が出た。この点がこれまでの南北小競り合いになかったことで,もしや本当の戦争再開になるのではとの心配を煽ったところである。「被害」については韓国側ばかりが報道され,「こんなことをやりやがった北朝鮮め!」の世論が日本でも支配的である。でも,この砲撃合戦の端緒が上記のごとく己の立場からだけしか見ない限りにおいて,やはり北朝鮮側にもそれなりの不幸な被害が出ただろうことは見落とされてしまう。
敵愾心を煽るのは報道の役割なんだろうか? それじゃ拉致問題なんて解決しないのではないだろうか。拉致被害者家族の方々もことあるごとに北朝鮮制裁を強く叫ぶのだけれど,政府が「制裁」以外,北朝鮮との交渉をまるで行っていないのをどのように見ているのだろうか? 拉致問題担当大臣を兼任していた柳田みたいな事勿れ主義政治家に,拉致被害者家族の方々がどれだけの期待をかけていたか,大いに疑問ではあるのだけど。
少し前,アントニオ猪木が北朝鮮に招待されて平壌を訪れた映像をテレビで観た。いまの日本は北朝鮮と仲良くやろうとする政治家を見出すとすぐ「売国奴」扱いするか「利権」に結びつけるかしかできない低能児だらけなんだけど,こういう政治家もいないと,北朝鮮はまったく付け入る余地のない国となり,問題解決はいっこうに進展しないのではないだろうか。小泉さんは偉かったなといまにしてつくづく思う。そのあとのウソツキ川口順子外務大臣のおかげで(こいつが「拉致被害者を一時的に帰国させる」という約束を反古にしたおかげで,日本政府の信頼は地に落ちた。できない約束なんてするんじゃねぇ)北朝鮮外交は完全に潰れてしまったのだから。