武満徹『ノヴェンバー・ステップス』ほか

NHK 教育『藝術劇場』,サイトウ・キネン・オーケストラ 2010 の演奏会をたまたま目にした。武満徹の傑作『ノヴェンバー・ステップス』。

武満の音楽を聴いていると,音楽とはやっぱり「体験」なのだ,と思う。聴く,というよりも,人間が音を出すその場に立ち会うことが大事なんだと。現代音楽ワケわからんという人が多い。藝術という自由な世界においても水が低きに着くようでないと我慢ならないなんて,と私は思う。ま,人の趣味を云々してもしようがない。

現代音楽は,新しい音響の試みにおいて,メロディー,和声として「ああ,これこれ」というような「感性の自動化」を拒否しているに過ぎない。音楽という音の統制のあり方を再度問い直す,開かれた感じ方を要請する,といえる。ちっとも難しくないのに,現代音楽が「ワケわからん」と感じられるのは,ここに理由がある。秋の虫の声を耳にして風流だと耳を傾けるか,耳障りと感じるか,その違いでしかないのに。そこにはワケもクソもない。もちろん現代音楽にも「驚き」しかもたらさないクソのような音楽も多いのだけど。

妻が洗いものをしながら,「キヤー」と呟いた。現代音楽は幽霊でも出て来そうだというわけである。ドヴォルザークやスメタナ,シャンソンなどが好きな妻は,音楽の趣味でも,まったく私と合わないのである。「ちょっと,お父さんはマジメに聴いてんだから茶化さないで」と私はブツブツ。
 

武満徹 : ノヴェンバー・ステップス / ア・ストリング・アラウンド・オータム / 弦楽のためのレクエイム 他
横山勝也,鶴田錦史,今井信子,宮田まゆみ,
小澤征爾,サイトウ・キネン・オーケストラ
ユニバーサル ミュージック クラシック (2000-04-26)
 
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柔ちゃん「引退」。「柔道の第一線から身を引く」とは語っているが止めるとは言わないところが彼女らしい。だから私は「お疲れさま」と迎えるわけには行かない。「二足のわらじ」と茶化したバカな小人どもは放っておこう。

彼女は代表選挙において,小沢さんの支持を取り付けるために民主党有権者に電話を掛けまくっていた。この人,金メダリストですよ。世界の頂点を極めた人なのである。そんな人が小沢支持のために一生懸命電話を掛けているのである。目的に向かって行動するときこのように形振り構わない谷亮子という人の姿に,私は言葉にならない感銘を受けたのである。そして,金メダリストをしてこういう仕事を引き受けさせることのできる小沢という政治家がそれに足る人なんだと思い知らされたのである。
 

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パ CS ファイナル,ソフトバンクがやっと初日。和田投手 — 妻によれば「つのだじろうの主人公」(うしろの百太郎かよ)みたいな和田投手 — が好投した。さすが。妻曰く「これは霊力よ」。