『派遣社員55%が『反対』=製造業への規制強化-東大調査』(時事ドットコム)の記事をみた。製造業の派遣禁止なんて「規制強化」は,いま疲弊した企業はとても受け入れられないはずである。この調査結果の示すとおり,労働者の失業リスクを高めるだけで,派遣業者を窮地に陥れ,企業の海外移転を加速させ,産業の空洞化を招くに違いない。
菅総理は,雇用問題の改善について自説を述べるとき,介護などの仕事の需要の高さについてことあるごとに強調する。確かにそのとおりだと思う。だけど,介護などは老人国日本の成長産業には違いないが,まるで国が沈み行くお手伝いに一縷の望みを掛けているようでぞっとしない。やっぱり国として,人を増やし仕事を増やす工夫がいるのではないか。
企業は安価な労働力と規制緩和を求めて海外に拠点を移す。国内需要がぱっとせずデフレがとまらない。人口減少に転じた以上,さらにこの傾向は高まる。どうしたらいんでしょうか。円高はいま現在歓迎されざる状況だけど,思い切って円高容認策に転じて,諸外国との FTA を早期に締結し,規制を大幅に緩和して海外からの投資を促進し,企業を誘致し,移住者を受け入れ,人も仕事も増やすのがいちばん経済を活性化させる気がする。自民党が大企業,農家,右翼を怖れてできなかったことである。これは新自由主義に近いけれども,小泉新自由主義の問題は中途半端だったために仕事の創設ができなかったことではないか。郵政事業だけじゃなく社会保険庁からなにからなにまで実行官庁は民営化してしまえばよいのだ。ネオコンの多い民主党もいまや変質し,この自民党と同じ事勿れ路線を歩みはじめている。
ま,でも,民主党政権を批判してもはじまらない。この国の経済を成り立たせている大多数は普通の働く人々であり,成功者は皆,法に従いながらも道を切開いているものである。経済の趨勢に法制度が堪え切れなくなれば,自然と規制緩和の方向に向こうと私は楽観している。そのうち財政が破綻して,官僚の大リストラの時代を迎えるに違いなく,小さい政府のなんでもありの時代が来るような気がしている。いずれにせよ,このご時勢は政治家のせいだなんて言っている人は,政治家に責任を押し付けているだけである。なんのことはない,落ちぶれる奴は結局「自己責任」を負う。
派遣法改正。明日は我が身か。