検察審査会の二回目の議決において「小沢氏からの借入金 4 億円」も「犯罪事実」に含めて認定されていることについて,小沢氏側はこれを違法として行政訴訟に踏み切るそうである。今日の朝日新聞夕刊に載っていた。チリの落盤事故から全員生還したとの大ニュースの横に,控えめに。面白くなって来たゾ。
今回の検察審査会での「起訴相当」の議決は,平均年齢 30 歳くらいのアマチュア一般国民によってなされたそうである。国民目線で事件性を審議するというこの制度それ自体は無意味だとはいえないが,まったくの密室で行われている以上,また,どうやって選定されたかも判然としないアマチュアによって決せられる以上,検察権力によって議決の方向性が誘導されている可能性が大いにありうると思う。なにしろ密室なのだから何だって想像してよい。じつは「議決」すらしていないのではないかと言う識者もいるらしい。今開かれている国会の予算審議会で民主党議員が,審査会の議事録を提出してほしいと至極まっとうな要請をしたのに対し,法務大臣は「個人の保護」のような名目でただちにそれを拒否した。え,何で? それなら一般国民発言者の氏名を伏せればよいのではないか? ヒミツ裏の議決なぞという似非民主主義で起訴され,犯罪者扱いされる人の人権はどうでもよいらしい。
裁判員裁判もアマチュアによる司法裁定の制度だが,この場合,公開制度であり問題判決が出ればただちに世の中から疑問が出てチェックされる余地があるし,裁判員の面も割れていていかにアマチュアといえども有無を言わさずそれなりの責任を背負わされるわけで,そこにこそ「人を裁く」ことに当たって則るべきフェアの根拠があると思われる。これとまったく同じで,検察審査会の議事録も公開されるべきではないだろうか。
小沢側の行政訴訟によって,こうした検察審査会の議決内容に至る過程が明らかにされればよいと思う。最近,評判の悪い検察がさらに評判を落とすかも知れないけれども,人をブタ箱にぶち込む権限を有する組織のふるまいが密室で行われているのは,やっぱりおかしくないか。フロッピーディスク偽造事件でとっ捕まった検事は,これまで密室でやりたい放題だったことを逆に露呈しているようでお笑いなんだけど,「取調べの可視化」を求めているんだそうである。「取調べの可視化」は被疑者に有利に働くという反対意見も多い。そうはいっても,少なくとも検察審査会なんていう被疑者不在のところでなされる議論の議事録くらい公にし,それを通して第三者が検証できるようにすべきではなかろうか。いい加減に議事録が作成されているかも知れませんが。