残暑が厳しい。けれども夕方,風が吹けば涼感が漂うようになった。会社の帰り,溜池交差点で信号待ちしていたら,三つ四つくらいの女の子が母親に手を引かれて私の横にいた。今宵の満月に目を留めて,「今日もいたんだ,おつきさま!」と叫んだ。ああ,ほんとだ。まんまるいきょうもいたんだおつきさま。今夜は月齢 14.7 の望月なり。
特許庁の贈収賄事件の余波で,うちの会社もいま,公務員との付き合い方の基本を再度徹底するため,自己監査やら社内教育やらが軒並み行われている。結構きつい。
今般,遵法精神は必要欠くべからざるものと思料する。(お役人文体で)
もうひとつ,「専ら派遣」禁止が強化される法案が年末あたりに国会で可決されそうだというので,子会社から継続して派遣技術者を雇い入れている私の会社のようなメーカー IT 部門はいま,資材取引方法(メーカーにとって外注要員は「人間性」ではなく「労働力」こそが目的であって,当然ながら「モノ」と同じく「資材」扱いである。マルクスの言う「疎外」の臭いぷんぷんなのだ)の見直しに大騒ぎである。
「年越し派遣村」の話題等にみられるように,派遣社員の酷い扱いが問題になり,民主党政権は,企業の正社員採用を促す目的で派遣法・労働者派遣法の改正にも力を入れている。でも,製造業が派遣社員を使わなければならない背景を踏まえないと,企業体力を奪うだけではないか。企業の論理は遵法精神である。経営にそぐわない法律のある国を嫌って他国に拠点を移すのに抵抗が少なくなっている。海外調達・生産拠点移転が加速され,本当に日本の産業空洞化が起こり,その結果逆に雇用が破綻し,「派遣社員のころのほうがまだよかった」不満を招くのではなかろうか。少なくともうちの会社は日本国内需要に見切りを付けはじめている。人口減少に転じた日本はいまや沈み行く国のひとつである。海外に出ることを嫌う者は採用されない。私もこれが正しい選択だと思っている。
帰宅して Yahoo! スポーツ・ニュースをみたら,阪神が中日に連敗を喫したらしい。しかもいずれもまったく打てず完封負け,しかも今夜は打てない上にここ一番の痛恨エラーでサヨナラ負け。大事な試合で阪神らしい負け方。笑ってしまう。そうそう,それでよい。これでこそわがタイガース。
思ったとおり,投手力に秀でた中日には,阪神打線もまったく歯が立たないわけである。落合監督は「野球は投手。攻撃は三番,四番,五番。これがすべて」と語っている。こういうのをポリシーというのである。野球は,いくら「強力」な打線でも,よくて三割しか安打が出ないというのだから,そもそも投手有利にできている。配球に工夫のない,制球の悪いダメ投手ならまだしも,ちょっとまともな投手(そう「ちょっと」)が出て来たら投手戦になる。
これで阪神が優勝できたら凄い。真弓監督じゃ無理なのは重々承知しているんだけど(ポリシーのなさ,工夫のなさ,戦術の単調さ),それでもやっぱり,まだ終わっていないんじゃ。マグレを期待してもバチ当たりにはならない。