中国漁船問題その2

中国漁船問題では,私は当初から「国内法に基づいて粛々と処置すべき」と考えていた。日本の検察は「粛々と法に基づいて」処分保留とし,被疑者を釈放した。思ったとおりの行動に出てくれた。エラい。菅さんも,前原さんも,仙谷さんも,官僚作成の国家予算と同様に,これを追認。信頼できる官僚をもったアンタはエラい。「屈辱」を無にできるこの人たちの人間性はショーサンに値する。支持率がさらにアップしてアップアップ。

中国で拘束された日本人 4 名も,中国国内法に則って粛々と裁かれるそうである。人のいい菅さんは中国が処分保留をするものと期待しているようである。それなら,前原さん,仙谷さん,那覇検事・鈴木さんといっしょに,代わってあげたら? 中国漁船長と同じように英雄になれますよ。
 

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海上保安庁は,証拠ビデオまで撮影した上で拘束のリスクを犯したのに,いまや実質的に「余計なことしやがって」モードに晒されている。国境警備に命をかけている彼らは,もう菅,前原(事件発生時の国交相)の言うことを二度と聞くものかと怒り心頭に違いない。検察の「日中関係を考慮した」お役所らしいトロい動きのおかげでタイミングを失したいま,証拠ビデオは中国に対しての意義を失ったかも知れない。「こんな映像は CG で簡単に作れる。これは日本の浅はかな謀略的捏造。だってもしこれが本物ならすぐさま起訴したはずではないか。われわれ中国の主張が正しいことを日本の検察が証明してくれたのである」と開き直られてしまう。
〔※ 10.3 付記:少し考えると,中国は「開き直」ったりしないことがわかる。だって自分の領海だと主張しているのだから,「一般国民」漁船が「不当な」日本の巡視船に体当たりするのは「英雄」的行為ですらあるわけである。〕

国会でこの問題が 30 日審議されるという。ここで内閣は批判にさらされ,法審議では何も決まらず,国会が空転してくれると面白いんだけど。しばらくこの問題でマスコミが得意の「説明責任」を振りかざしていつものように大騒ぎしてくれるとさらに面白い。Yahoo! コメンターたち(仕事がなくて暇を持て余す「ネット右翼」たち)が菅内閣を「売国奴」,「中国政府の密通者」と罵倒する様も見物である。海保のビデオが公開されたら,中国は無視ないし開き直りを徹底するだろうが,日本では内閣が窮地に陥れられる。なぜなら「これだけの明白な証拠があるのに何故」が噴出し,とんでもない「後の祭り」を演出してくれるからである。おまけに物的証拠の塊である漁船を愚かにも中国に返しちゃたと来ている。仙谷さんが公開を渋った理由もここにあると思う。

これで内閣が倒れたら,中国のちょっとした圧力で日本の政権がガタガタになることが証明されることになる。いま私は菅政権の余命について会社の友人たちと賭けでもしようかと思っているところである。私にとっていまの日本の政治は動物園である。政権与党檻,野党檻,官僚檻,マスコミ檻,ネット右翼檻を見て回るのである。バナナを投げたらこっち来るかな,なんである。プロ野球も終わることだし,この秋の楽しみがひとつ増えました。