今日,第 53 回神奈川県合唱コンクールに行って来た。娘が所属する県立多摩高校合唱部が参加した。先日の合唱祭と同じく,場所は神奈川県立音楽堂。娘の学校は混声合唱で課題曲として『O magnum mysterium』(Pierre Villet 作曲)を,自由曲として『Gloria 〜 Cum sancto spiritu』(Hyo-won Woo 作曲)及び『Three Songs of Faith 〜 hope, faith, life, love』 (e.e.cummings 作詞,Eric Whitacre 作曲) を歌った。午后一番だったので食事のすぐあとじゃ声の調子が上がらないのではと私は心配したが,杞憂であった。素晴らしい出来だった。見事,金賞を獲得し,関東大会に進出する運びとなった。やったね。おめでとう。
その他,私が聴いた学校では,桐蔭学園女子コーラス部の演奏も聴きごたえがあった。アポリネール詩,堀口大学訳,髙嶋みどり作曲の『露営のともしび』は神韻とした感じがよかった。レコードが欲しくなってしまった。與謝野晶子詩,鈴木輝昭作曲『絵師よ』では,こんな淫蕩な味のあるサイケな難曲を高校生が破綻無く演奏できるのに感心した。こういうときこそ指導者の力量を尊敬してしまう。
合唱コンクールでは総じて,ラテン語詞合唱曲の選曲が多かった。また,ネットで検索してみると,鈴木輝昭作曲『絵師よ』も意外と定番らしい。高校合唱部も結構マニアックな活動をしているんだと驚いた。
合唱コンクールのあと,川崎に出て,夫婦そろってメガネを新調した。喫茶店でお茶しているとき,新しいメガネを付けた妻の写真をデジカメで撮影して,娘に写メ送信してやった。私が「ドラマで弁護士を目指していた役のメガネっ子・菅野美穂にちょっと似てるね」と言うと,妻は嬉しそうにした。「菅野美穂っていえば,お父さん,入院してたころ,彼女のヌード写真を見てたね」と妻。肺結核で何ヶ月も入院していたとき,私は,病棟の古雑誌置き場に捨て置かれた週刊誌に,当時話題になった菅野美穂ヌード写真集の一部が掲載されているのを見つけ,そのページだけをビリビリ破って病室に持ち帰り,ときおり取り出しては楽しんでいたのである。そんなこともあったなー。いま思えば愚か。うーむ。それから十年以上経過したわけであるが,いまの菅野美穂のほうが断然いいな。またヌード写真集を出してくれないものか。(菅野美穂ではないけれど,20 代で AV に出ていたころよりも,30 代になってもストリップ劇場で踊っている女優の姿のほうにこそ魅力を覚えるこんな私は,ただのどうしようもないスケベ・オヤジなんだろうか...)
ロシアの Ozon から書物が届く。М. М. Бахтин, Собрание сочинений Т. 4(1)--(2). М.: Языки славянских культур, 2010. 世界文学研究所によって 2003 年から刊行されはじめたミハイル・バフチン著作集の第 4 巻,2 分冊である。2 冊合計で 1,368 ルーブリ,目下のレートでは,3,762 円也。バフチンによる,ドストエフスキイ論と並び称される記念碑的著作 «Творчество Франсуа Рабле и народная культура средневековья и Ренессанса»(邦題:『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化』)と,その関連論文,書簡,膨大な準備資料・遺稿の集成である。20 世紀のロシアの偉大な知性(日本の「ニューアカ」など足下にも及ばない「本物の」学問的知性)の足跡を少しずつでもよいので,丹念に追ってみたい。
本著作集はまだ 2 巻,3 冊しか刊行されていないようである。全 7 巻揃うのはいつなんだろうか。プーシキンのアカデミー版大全集の刊行は 1937 年から 1949 年まで完結にじつに 13 年を要した。もちろん,この場合,この間に大祖国戦争があったという事情も関係しているが,その 3 年間を差し引いてもじっくりと時間を掛けている。このように,ヨーロッパの国々における全集の刊行は,ロシアに限らず,とても息が長い。バフチンの『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化』は,川端香男里先生による日本語訳(せりか書房,1980 年新装版)で知る本好きの方も多いと思う。この日本語訳本はまだ比較的容易に古書で入手できる。そのアマゾン・リンクを付けておきます。