LaTeX LH キリル・フォント T2D/OT2 エンコーディング Type1 フォント集を改訂した。これまでのものは,mftrace で pfa を生成する際,エンコーディング指定を省略していたので,これらフォントを埋込んだ PDF からキリル文字テキストをコピー&ペーストするとラテン文字になってしまって(要するに化けて)いた。対策方法はわかっていたんだけど,mftrace 長時間実行が躊躇われてずっと放置していたのだった。美文書第 5 版(本書 p. 367 でこの T2D/OT2 Type1 フォントが言及されている)が出たのを契機に,やっとこの課題に取組む気合いが湧いて来た。
T2D 及び OT2 Type1 フォントの mftrace 生成に際して,--encoding オプションに対し,それぞれ t2d.enc, cm-lgc-ot2.enc を指示した。Александр Лебедев 氏による OldFonts パッケージ, Алексей Клюков 氏による CM-LGC パッケージに付属するエンコーディング・ファイルである。Type1 フォント生成に,以前は PowerMac G5 Tiger で 7, 8 時間かかったのだが,今回 MacBook Pro Snow Leopard では半分以下でできてしまった。
これで PDF のキリル文字をきちんとコピー&ペーストできるようになった。ロシア語旧正書法の文字も正しく取り扱われるはずである。ダウンロード・サービスに lh-misc-type1-1007 アーカイブを置いた。インストール/使用法の詳細については,拙稿『LH キリル T2D/OT2 Type1 フォント集』を参照。