すばらすぃ

日本がなんとベスト 16 に残りました。本大会前になされた数々の失礼なコメントを蹴散らして,いまや日本サッカー史上最強の代表チームとまで呼ばれるようになった。本田選手,遠藤選手のフリーキックはアンビリーバボーでした。絵に描いたような美しいゴールでした。世の中の評判も掌を返したかのようである。岡田監督は一転,日本サッカー界の英雄になった。ここがダメ,あそこが最低とばかりに貶されていた日本チームの特徴が,いまや反転したかのごとき趨勢である。これにスイッチを入れたのは,カメルーン戦のあの本田選手のゴールと無失点を果たしたことがすべてである,といってよいだろう。

我が家では,早めに就寝して 3 時ごろ起き出して,息子,娘,私の三人でテレビ観戦した。妻は独りグーグー寝ていたが,観戦時のおつまみにピザを買い置いてくれた。未明に,ビールを呑みながら,「ヨォーシ」とか,「ヤッター」とか,「エー」とか,「スゲェー」とか,「ナニィー」とか,大声を出して,いい気分であった。まずなによりも,檜舞台の大一番で闘う日本のナショナルチームを,こうして飲み食いしながら家族で応援できる機会に恵まれたことに,改めて感謝した。

はじめのうちは押し込まれたが,ルーズボールを丹念に拾って攻撃に転じるうちに,ポゼッションでは劣りながらも,日本はデンマークを陥れるようになった。GK, DF, ボランチの守備が心憎かった。大会直前のテストマッチでこの布陣を敷きはじめたときは,「なんでこの期に及んでこれまでなおざりにして来た守備的攻撃ポリシーをドタバタ試すのか,もはや遅すぎる」と私は岡田監督に頭に来たのだが,こんな短期間でそれなりの形を確立してしまうのだからやはり日本代表選手の質はただならぬものがあるとホント感心した。

試合を観たあと,酔いを醒まし寝不足を押して出勤。私と同じような社員がほとんどであった。会社では職務の手前,興奮状態は秘められたものであって,「やったねぇ」—「そうですねぇ」だけでこの W 杯関連の会話はそれっきりとなっていたんだけど,皆,休み時間には号外に目を通して勝利の余韻を反芻しているようだった。

日本中が祝祭気分だったようである。これが南アフリカではなく,日本と時差のない国で起こった事件であったならば,試合終了後,皆でどんちゃん騒ぎとなり,コンドームが飛ぶように売れ,ホテルは満員御礼になったに違いないと,私はアクビをしながら事務所の自席でアホな想像をした。祝祭とはそういうものでなくちゃ。次はパイアグラ ... いや,パラグアイとのベストエイトを賭けたノックアウトマッチ。この試合は 22 時キックオフだそうである。でも,ウィークデーなので,会社員はどんちゃん騒ぎに直行するわけにはやっぱりいかないはずである。

あー眠。日本チームの皆様,楽しいひとときを下さいまして,ありがとうございました。また,よろしくお願いします。