谷亮子参院選出馬・W 杯代表発表

今日,会社から帰宅して夕刊を見ると,「ママでは銅」だった谷亮子が次の参議院選挙に民主党から出馬するとの記事が出ていた。テレビを点けるとやはりその話題がニュースで流れていた。やはりどのチャンネルも同じ話題だった。テレビ朝日のニュースキャスターは「ママでもギイン」などとオヤジ・ギャグ(これこそオヤジ的な下品さがある)を発していた(他のテレビ局も,これとまったく同じ加齢臭ぷんぷんの下品なギャグを,恥ずかし気もなく口にしただろう,というのも容易に想像できる)。

そのニュースの解説委員(朝日新聞の社説を書いて来たようなベテラン記者だろう)が,民主党,自民党,なんとか党(元プロ野球選手の中畑氏を擁立)などがこぞって有名人を候補に立てて,人気取りをあからさまにしている様に,「情けない」とこぼしていた。要するに「有名だからといってスポーツ以外に何も知らないバカが政治家なんておこがましい。世も末だ」と言いたいらしい。この解説委員と同様の意見をもつ人が多いはずである。だからテレビに出演する識者として堂々とこのような見解を提示できるのである。

でも私の思うに,政治というものをエリートがなすべき特殊領域であると宣言しているに等しいこういう人たちこそが,政治家をどこか非日常的な存在に仕立て上げ,「陰謀」やら「謀略」やら「面従腹背」やら「私利私欲」やら「言行不一致」やらで政治家不信を煽り立て,政治への国民的関心を殺いでいるのである。このテレ朝解説委員は「一方で普天間という喫緊の課題があるのにですね,情けない」などとホザいていた。普天間なんかより,国民的英雄である谷亮子の議員としての活動に注目が行くことのほうが,よっぽど重要である。政治とは柔道と同じで真剣勝負である。谷亮子はそういう気持ちで出馬を受けたはずである。そういう真剣勝負をしてくれるなら,少しくらい脇が甘くとも,私は断固支持する。おそらく国民の判断もこのテレ朝エリート主義的知識人よりも確かなものだろうと私は確信する。

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サッカー W 杯日本代表選手 23 名が決まった。なんで大久保がいるんだ?,えぇ? 今頃になって川口が選ばれるなんてわけわかんねぇ!,に類する,負の「サプライズ」を疑問視する意見が目立つ。でも,監督の悩んだ末の決断なのだから,この人選に私は十分納得できる。選ばれた選手たちを祝福し,1 ヶ月後の活躍を期待したい。

代表に選ばれた選手のなかでは,ロシア 1 部リーグ CSKA モスクワで活躍する本田選手に注目が集まっている。私は,昨年のオランダとの親善試合を観たときには,役割分担の徹底したフィジカルに強い欧州サッカー向きのよい選手であれ,守備的であるべき日本のサッカーには逆効果だと,彼について思ったものである。そんな本田選手も少しずつプレーを変えて来ているのはなんとなくその後の代表戦でも感じられ,なによりロシアでの光るプレーで日本のファンの期待を盛り上げてくれている。

本田選手が活躍したとき,CSKA モスクワの Web サイトを覗いたことがある。その試合に関るビデオクリップがいくつかアップされていた。そのうちの一つ,ヒーローインタビューでの彼の受け答えが面白かった。通訳者がテレビ局のインタビュアーのロシア語を英語に翻訳して本田選手に伝え,こちらも英語で応えていた。本田選手は自分の言っていることをロシア人の通訳がうまく伝えているのか気になったのか,"Do you understatnd?" と声を荒げて通訳につっこみを入れていた。「おめぇオレの言うことわかってんのか?」って感じであった。おお,ロシアのマスコミにも高飛車に接することのできるこういうヤツこそが,いまの日本代表に相応しい。

ロシアのテレビ中継における本田選手のゴールシーンのビデオクリップも見た。実況アナウンサーが "Хонда! Настоящий Самурай!"(ホンダ,これぞ真のサムライ!)と雄叫びを上げていた。ヴィヴィッドな日本人がサムライに譬えられるのは,ホント,世界共通の「紋切型」なんだと半ば呆れた。

今度の W 杯日本代表もサムライブルー。WBC 野球とは違って,彼らが 32 チームのトップを切って帰国を余儀なくされ,成田空港に到着するや「切腹」を迫られるのかと思うと不憫である。負けて不貞腐れる本田選手に対して,ネットの馬鹿者どもが「品格」を持ち出して悪口を書き立てる様がいまからありありと想像できる。それでも日本代表は我々の代表である。W 杯に出ただけでも凄い。堂々と戦って来てほしい。私はすごく期待しているのである。私の予想はグループリーグ 3 戦全敗だけど(付記:岡田監督の 4 バック主体の攻撃的布陣は,弱いくせに守備を軽視する滑稽戦術だと思う。敵をも己をも知らずして戦いに臨んでいるのではないか。3 戦全敗)。