山川出版社から出た『もういちど読む山川日本史』を読んだ。最近,歴史ブームだという。この本のほか,世界史でも類書が山川出版社から出ていて,ともに数十万部を売り上げてベストセラーなんだそうである。政権交代があり,経済・社会・外交問題が近年になく緊迫し,先行きに大いなる不安を感じてしまう昨今,世の一般の人も歴史に目を向けているのだと思う。正しい。私も,ブームに乗せられたのか,本書が書店に並んでいるのを見てなんの迷いもなく購入してしまった。本書は政権交代直前,麻生政権までをカバーしており,手元にある同じ山川の高校教科書には掲載されていない変化をもフォローしている。
高校教科書は,1,2 日で通読できる歴史の本としては,抜きん出た品質をもっている。もちろん,明確なテーマを持った歴史モノグラフと比べると記述がフラットであるため,読んでいて「面白い」と思うストーリー性がまったくないのだけれど,社会人にとっても,いまこの現代に至る過去の大きな背景事実を知るには最適である。私も高校時代,山川の日本史・世界史の教科書で学んだ。今回本書を読んで,歴史用語の様変わりに,「歴史といえども物事は動く」という当たり前の事実に,驚かされた。洪積世・沖積世はいまでは更新世・完新世という用語が用いられる。同様に大和朝廷はヤマト政権。古代日本の朝鮮半島における足場とした任那は伽耶。柳条溝事件は柳条湖事件。等々。
大正デモクラシー・未曾有の好景気から,世界不況とそれに起因する社会の貧困,世相の混乱,政党政治の終焉,軍事官僚に支配される暴力的暗黒時代に至るくだりが,どうにもいま現在の日本の状況と今後を暗示しているように思われ,私は暗くなってしまった。
サッカー日本 VS 韓国,観ました? 日本は完敗でした。韓国のサッカーファンは,今夜の試合,あれだけだらしのない日本人からなら 5 点は取れたのにと,悔しがってさえいるかも知れない。スピード,運動量,スタミナ,守備力,個人技 — どれをとっても若い韓国チームのほうが数段上だった。韓国もパク・チソンなどの海外組抜きだっただけに,この差はショッキングだった。両チームとも軽卒なプレーが多くて,おかげで日本にも PK の 1 点が転がり込んだ感じであった。この試合を観た外国人は,世界ランキングで日本が韓国よりも上だということが,おそらく信じられないだろうと私は思う。でもこういうこともある。
ちょっと強い相手になると DF,ボランチがたった二人に崩され間を抜かれる場面があまりにも多い。韓国はピンチではゴール前に人を密集させて防御する姿勢が徹底されていた。世の人は日本の決定力のなさを問題視し,攻撃力の精度向上を求める人が多い。でも,こんな試合を観るにつけ,日本のいちばんの課題が守備であることは間違いないと私は思う。攻撃で空いたスペース,ウラを取れだの,そんなことは選手は当たり前のように意識しているのだ。攻撃よりも,日本が点を取られた場面をよく研究して,その対策こそ打つべきではなかろうか。W 杯でもグループ・リーグ無失点を目標にすべきなのだ。とにもかくにも,韓国に勝てないチームが「ベスト 4」を掲げるのは,井の中の蛙よろしく惨めである。
それにしても。韓国ごときにこの結果,あの内容。韓国チームには「凄ェ」と思わせるところがなかったのに,である。ただ鍛え抜かれたベースの高さに日本が敗れた印象が強かった。ホント頭に来た。日本のサポーターの多くも同じように「怒っている」のではないだろうか。国立競技場で応援していた日本サポーターが可哀相でしようがなかった。こういうことをしているとホント,観に来てもらえなくなるんじゃないでしょうか。私は日本代表の試合を観てあんまり「怒り」を覚えることはないのだけれど,今日はなにか日本が選手の強化の方向を勘違いしていたのではないかと思い知らされた観があった,それくらい衝撃を受けてしまったのだ。選手の給料で比べたら,韓国選手は日本選手の 5 分の 1 以下,ヘタすりゃ 10 分の 1 ではないだろうか。恥を知れ,日本代表。いやいや,冷静に,冷静に。