国家公務員法改正案

産経新聞配信ニュース『国家公務員法改正案 次官と局長,部長を同格に』を見た。政治家主導を掲げる民主党が,いよいよ,自分たちの言うことを聴かない官僚を排除するための法案を,閣議決定しようとしている。

サラリーマンなど組織に属する人は,人事権を握る者にはまず歯向かわない。「正義」は人事権を握る者にとっての「正義」になる。事務次官クラスの官僚のトップが「実績」評価をベースに政治家によって降格させられるとなると,いままでそこに昇り詰めるのを目標にしていたお役人にとって,視線の流れる方向が変わるのは間違いない。事務次官会議を廃止させたりしてきた民主党による官僚支配体制が着々と進んでいるわけである。

小沢さんを起訴できなかった検察庁特捜部は,いま戦々恐々としはじめているのではないか。いままでは官僚自らの「正義」で政治家をしょっぴいて来た。これからは民主党政府の悪口を言うと,政府にキンタマを握られた警察に「立ち小便」でしょっぴかれる — 間違ってもそんな世の中にならないよう祈る。

鳩山内閣支持率は昨年末以来ガタンと下降しているという。まだなにも失策をやらかしたわけでもないのに,小沢カネ疑惑など本質的でない問題が数字に影響しているのは間違いない。でも,この政権,支持率とは無関係に,長期政権になる。だって,これまで自民党様様だった医師会などの各種団体が「与党」民主党に支持政党をころころクラ替えしており,民主党の政治基盤が盤石になりつつあるわけである。鳩山さん,小沢さんの悪口ばかりが目立つネットの声・マスコミ論調が,どうも極々一部の不満分子達の成せる技だというのも,先の選挙結果で明確になってしまっている。

次の参議院選挙で民主党にひと泡吹かせてやると息巻いているネチズンが滑稽なのは,じゃ民主党以外のどの政党に投票すべきなのか,という解がまったく出せないからである。そもそもいまの自民党は,自分たちもそうとう疑わしいカネ疑惑で国会の足を引っ張ることに始終しており — 目クソ鼻クソを嗤うと国民皆が思っているのがわからないらしい —,誰もあの党にもう一度投票しようなんて思われないくらい下品な政党に成り下がっている最中なのだ。鳩山政権以上に支持率を落としているのはまさに自民党のほうだろう。じゃ,政府与党,自民党以外のどこに投票する? 公明党か? ここもいまや民主党の機嫌を一生懸命に伺いはじめており,政府予算案に唯々諾々と賛成したじゃないか。もはや金魚のフンか。共産党か? 幸福実現党か? ここまで来ると,笑いごとでないことがわかる。

かくして,民主党は官僚権力を味方に巻き込んで長期政権を実現するのは間違いない。この過程で,伝統的に官僚の言いなりであるマスコミが民主党政権を賛美しはじめるようになって,一党独裁が完成する。私は世の中が明るくなるならそれでもよいと思う。日本が強くなるならそれでもよいと思う。